第24話
「やっぱお前は良いわ」
由來は空いてる手でアリスの頭を撫でる。
「はぁ? 意味分かんないんですけど」
子供扱いされたと思って不機嫌になるアリス。
「分かんなくても良い。今のままのアリスで俺の側に居てくれ」
真剣な声に由來の瞳はアリスを捉えていて。
聞いてて恥ずかしくなる言葉を素で吐けるのは、流石王様だよ。
一歩間違えたらプロボーズだろ? それ。
そう思ったのは俺だけじゃないらしく、李斗も和毅も苦笑いでこっちを見てた。
当の本人のアリスは...と言うと、
「馬鹿じゃない? 人は変わるし」
なんてさらっと交わしてるし。
「...チッ」
由來は途端に不機嫌になる。
本当に見てて飽きないよね。
微笑ましい二人は、チンと言う機械音がなった途端に表情を変える。
由來は仕事の顔に、アリスは少し緊張した面持ちになる。
背筋を伸ばしてエレベーターのドアの前に並んで立つ二人は、常人には放てないオーラを放ち出す。
静かに左右に開いたエレベーターのドア。
エレベーターを降りればすぐにクラブのフロアに直通する仕組みになってるここは、既に薄暗い照明とふかふかの絨毯が敷かれていてクラブの一部と化してる。
「「「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」」」
俺達の到着を見越した黒服を着たマネージャー達が両脇に並んで丁寧に頭を下げている。
顔を上げた面々は、それぞれ思いのままに驚きの表情を浮かべてる。
ま、そりゃそうだね。
いつもキャストの女の子を寄せ付けない由來が女の子の肩を大切そうに抱き寄せて立ってるんだからね。
フハハ...面白い光景だな。
俺は二人より前に出ると、マネージャー達を一瞥する。
「今日は若頭の大切な人を連れて来ました。粗相の無いようにお願いしますよ。彼女は、俺達や宇佐美組に取って無くてはならない人です。心して対応お願いします」
俺は彼らに説明しながらアリスへと視線を向けた。
アリスはどこか居心地が悪そうに目を伏せる。
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