第23話
「CLUBbutterfly?」
こちらの心労も他所に最上階の名前を読み上げるアリス。
「ああ、そこがうちが持ってる中で最高級のクラブらしい」
と説明する由來。
らしいってどうだよ?
全く、知らなさすぎるよ。
「へぇ、蝶々って可愛いもんじゃ無いだろうに」
クフフと笑うアリスの笑みは黒い。
確かにその通りなんだけどね?
夜の蝶は互いに光輝きながら相手を蹴落としてのしあがってくる。
「クッ...お前はっきり言い過ぎだろ」
笑いを噛み潰す由來は自棄に楽しそうだ。
いつもここへ来る時とは雲泥の差だ。
「じゃ、さっさと蝶の居る不夜城に乗り込んじゃいましょう」
そう言うとアリスはクスクス笑うとビル内に向かって歩きだした。
不夜城ですか...ククク。
「クハハ、アリスらしい」
和毅が大笑いしながら足を踏み出す。
「ネーミングセンス抜群」
楽しそうに口に銜えてたチュッパをガリガリと噛み砕いた李斗も動き出した。
「やっぱり俺の女は少し違うな」
アリスと同時に歩き出していた由來はアリスの肩を抱いてゆるりと口角を上げる由來。
「では、参りましょう」
俺は少しだけ足早にエレベーター向かうと昇降のボタンを押した。
程なくしてやって来たそれに、5人で乗り込む。
「エレベーターまで高級そうね? 夜景が綺麗に見えるし」
クススと笑うアリス。
最上階へ向かうエレベーターはガラス張りで街を見下ろせる。
「ここに来る欲深い政治家のオジサン達はこの街を支配した気になるらしいよ? この景色」
李斗が馬鹿にした口調でそう言えば、
「馬鹿ほど夢見るのよ。それほど力も無いくせにね」
アリスは嘲笑う。
「お前に掛かっちゃ政治家のオッサンどもも馬鹿の分類に入るのか?」
声を出して笑った由來は本気で笑ってた。
「そうね。汚職にまみれてる連中でしょ? こんな高級CLUBで女をはべらすのは。堅実で優秀な人は夜遊びに興じないわよ」
あながち間違いじゃない所が怖いねぇ。
「確かに間違いねぇ」
由來はアリスを愛しそうに見下ろす。
和毅も李斗も、もちろん俺も今が楽しくて仕方ない。
三年経ってもアリスはアリスのままで有ったことを嬉しく思う。
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