第21話

「だったら、それが今日だ」

問題あるか? とでも言いたげにアリスを見下ろす由來は、本当に俺様だと思う。


「あんなの冗談だと思うじゃん。今日行くなら行くって言ってよね」

まあ、アリスの言い分はもっともで。


「じゃあ、今から視察に連れていく。これでいいだろ?」

平然と言ってのけた由來に、

「今さら遅いのよ。もう良い」

フンと顔を逸らしたアリスはご立腹だ。 

呆れた様に溜め息をついたアリスはこれ以上何を言っても、視察に連れていかれるのは覆らないと悟ってるみたいだ。

本当にアリスは利口だよね。


「まぁまぁアリス、折角だから楽しもうよ。アリスの事は俺達が守るしさ。これ食べる?」

李斗は愛らしく微笑んでアリスにはチュッパを差し出した。


「ありがと。守って貰わなくても女の子が相手なら撃退ぐらい自分でするけどね」

受け取ったそれを包装しから取り出しながら、李斗にヘラっと笑うアリス。

確かにアリスに対抗できる女の子はそうそう居ないよね。


「あ、それ分かる。だけど、アリスは無茶しちゃダメだよ。まだ退院して一週間しか経ってないし、心配だからね」


「うん、ありがとう。李斗って優しい」

キュッと李斗に抱きついたアリスは、

「何やってんだよ」

と不機嫌な声を出した由來に首根っこを掴まれて李斗から引き離される。


「んもう! 李斗とのハグを邪魔しないでよ」

由來に抗議するアリスは、やっぱりアリスだと思う。


「俺の前で他の男に抱き付くって事はお仕置きされてぇって事だよな?」

ニヤリと悪戯に口角を上げた由來は勝ち誇った様にアリスを見下ろす。


「はぁ? 男って、李斗じゃん」

抗議するもアリスの顔は少し怯えてて。


「男には変わりねぇだろが。躾たりねぇか? 亜理子」


「やっ...そ、そんな事はないと思うな」

急に気弱になったアリスは何かに怯えてるように見える。

はぁ...由來に何をされてるんだろうか?

アリスが退院してから由來はアリスのマンションに泊まり込んでるからね。

二人だけの時間に、二人にしか分からない何かがあることを悟った俺。

敢えて言うのは控えておこう。

ラブラブしてるなら問題ないしね。

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