第20話

最初、由來にアリスを定例視察に連れていくと言われた時は一瞬考えました。

だけど、遅かれ早かれアリスの存在はお披露目することになるし。

由來の隣には大切な女が居ると言う事も知らしめるつもりでいたので、由來の話に乗ることにした。

夜の街の女の噂を流す力は凄いですからね、それを利用しない手はないと思ったから。

俺って強かでしょ?

だからこそ、参謀としてやっていけるんです


それに由來も視察の度に由來に色目を使う女達にも飽き飽きしてた様子だし、アリスを見せつけるのも良い機会なんだよね。

そりゃ、店のNo上位者しか由來や俺達には近付けない様になってはいるけれど、明らかに狙いを定めて擦り寄ってくる。

それが鬱陶しいのなんのって。

うちの店の女達だから頑張って働いて貰わなきゃならないから、あんまり無下にも出来ないしね。

適当にはあしらってるけど、完全に拒否もできない所が辛い。

拒否出来ないと言っても、No持ちを視察の時にVIPルームに呼んで隣に座らせるぐらいだけどね。

由來はそれすら鬱陶しいみたいなんだよね。

まぁ、由來の瞳にはアリスしか写らないらしいから仕方ないけど。

アリス以外の女が側に寄る事を毛嫌いしてる。

ほんと、昔の由來からは考えられないよね。

乃絵留さんて言う彼女が居ても、来るもの拒まずだった。

ま、あの状況は色々有ったから仕方ないとは思わなくもないけど。

女の敵だった事には変わりないよね。

欲情するままに女を道具の様に使って吐き出す。

意味の無い馬鹿げた行為。

乃絵留さんへの感情や、組の若頭としての重圧とか、あの頃の由來はそんなのに翻弄されてたんだと思う。

その反動が女遊びに出てしまった。

弱い男の逃げ道だと言われたらそれまでだけどね?

周りに居た俺達や、由來自身にもどうする事も出来なかった。

たがら、由來を変えたアリスは凄いと思うよ。


「病院で言っただろうが。視察に連れてくって」

抗議するアリスを見下ろして口角をクイッと上げる由來。


「...っ..聞いたような気がしなくも..ないけど」

アリスは頭の中の記憶を引きずり出してるらしい。

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