第17話
ざわめく繁華街。
きらびやかなネオンが、黒に色を添える。
その真ん中を優雅に歩く二人は、とても絵になっていて。
感嘆の声を漏らす夜の蝶達は、由來の隣も幸せそうに微笑みながら歩くアリスを恨めしそうに時折睨み付ける。
アリスはと言うと、そんな視線も気にする様子もない。
本当に大した女の子だよ。
「ちょっと、由來くっつきすぎだから」
迷惑そうに眉を寄せて由來を見上げる亜理子は、肩を抱く由來の手から逃れようともがく。
退院後も強気のアリスが健在で安心する。
「...チッ」
「舌打ちしても知らないし。この体制歩きにくいのよだいたい、私達の身長差も考えてよね」
確かにアリスの言うように肩を抱かれて歩くのは歩きにくそうだ。
「...面倒臭せぇ。これなら文句ねぇだろ」
不機嫌な顔をしながらもアリスの肩を解放した由來は、その手でぶらりと体の横に垂れ下がるアリスの手を取った。
「...なっ..ま...そ、そうだけど」
手を繋がれると思ってなかったアリスは頬を染めて戸惑う。
フフフ...このギャップが堪らないんだろうな。
「なら良いよな」
由來は満足そうに口角を上げるとアリスの指に指を絡めて、いわゆる恋人繋ぎに手を繋ぎ直す。
ああ、あの由來が自分から恋人繋ぎしてる。
「うわぉ! あの由來が...」
口に手を当ててアワワと騒ぐのは、もちろん和毅で。
「ククク...アリスは凄いや。由來をあんな風にデレデレに出来るんだからね。本当に二人が結ばれて良かった」
さも楽しそうに二人を見つめる李斗。
目の前の二人は本当に幸せそうだもんね。
「俺もあんな恋したい」
「だったら、不特定多数と遊ぶのを止める事だね、和毅」
「...っ..」
李斗に痛い所を突っ込まれた和毅はぐうの音も出ないようだ。
ま、李斗は正しい事いってるしね。
和毅も昔よりはマシになったものの、来るもの拒まずな所は健在だからね。
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