第13話

「由來、私はもう大丈夫。だから、由來もパパも自分のやらなきゃならないとこをして欲しい。二人が私の側にいる間に、他の皆に皺寄せがいっちゃうんだよ。私は皆の荷物にはなりたくない。これからずっと一緒に居るんだから」

どうか私の思いが届いて欲しい。

この先、共に過ごすために、今からお荷物になりたくない。



「...ふっ..分かった。だけど一人で無茶すんなよ?」


「うん。」

もう一人で頑張らなくても良いことを知ったから。


「だったら、毎日仕事の合間に顔だけ見に来る。それぐらい許せよ?」


「...うん。会いに来て」


「...っ..ヤベェ、可愛すぎる」

ギュッと抱き締められた。

えっ? えっ? 急にどうしたの?

私の視界は由來のシャツに覆われてて、昔と変わらない由來の香水の香りに包まれる。

ど、ドキドキするんですけど。


「あ...あぁ、亜理子までが由來の毒牙に掛かってる」

両手で頭を抱えだしたパパは、

「ま、諦めろ。亜理子はうちの嫁に貰う。俺の娘になる日も近いな」

ニシシと悪戯な笑みを浮かべた宇佐美組長にポンと肩を叩かれた。


「ああ...そんなぁ...」

パパ、落ち込みすぎだし。

ってか、嫁とか話早すぎですから。


「虎丸さん、亜理子が俺の嫁に来ればいずれ屋敷に住むようになるし。今みたいに離れ離れじゃなくなるぜ。良いと思わねぇ?」

うわぁ、由來ってば悪い顔してるし。


「あっ! それもそうだな。良いな」

あ~ぁ、パパってば直ぐに乗せられてるし。


「じゃあ、俺達が付き合うのは問題ねぇよな? 虎丸さん」

悪い顔をしたままの由來に言いくるめられたパパは、

「おう、良いぞ」

と軽い返事をした。

あぁ、パパってば単純すぎる。


パパに対して疑心の視線を向けてた私に、

「これでも、うちの組長補佐だからな」

と苦笑いした宇佐美組長。

色々と苦労されてるのかも知れないと思った。


「..あ、色々とお疲れさまです」

と苦笑いを返しておいた。

...ちょっと疲れたかも。

目が覚めてからこんなに体を起こしてた事なかったもんね。

なんだか、頭がくらくらする。

由來の胸元に頭をもたれかける。


「疲れたか? ベッドに戻るか?」

由來は些細な事に気付いてくれるね。

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