第12話
由來が側に居てくれる。
だったら、頑張らないわけにいかないしね。
それに私が元気な体に戻らなきゃ、あの花屋の親子に余計な気遣いをさせてしまうしね。
辛いリハビリも頑張ってみせる。
日常生活に支障がないぐらいまで体を戻せたら、1度イギリスに帰ろう。
そして、あの町に住む友に伝えよう。
自分の居場所を見つけた事を。
その居場所にあり続ける為に決めた決断を。
「それでは、明日、リハビリの担当も交えて今後のスケジュールを立てましょう。私達医師や看護師も全力でサポートします」
そう言い残して病室を出ていった先生。
その背中を見つめなが明日から...頑張らなきゃな、と改めて思った。
「亜理子、パパも協力するからな。毎日来るぞ」
やたらと意気込むパパ。
仕事しなさいよ。
「来なくて良いわよ。この病院完全看護だし」
無表情で言ったら、
「由來は良くて俺がダメとか切なすぎる」
と何故か拗ねた。
いやいや...良い年して拗ねないでよ。
「ってか、由來にも毎日来てもらわないわよ」
病院に通うより仕事してもらわなきゃね。
「はぁ?」
由來、眉間にシワを寄せて見下ろさないで。
「来るつもりだったの?」
呆れた様に聞いた私に、
「当たり前だろ? リハビリに付き合うし」
なに言ってんだ? って顔しないで。
「いやいや、由來もパパも仕事あるでしょうよ。私に付きっきりになる意味が分かんないわ」
「亜理子の言うことが正しいな」
賛同してくれたのは宇佐美組長。
腕組みして着物の両袖に両手を突っ込んで頷いてくれた。
「...チッ」
舌打ちしない、由來。
「藤次、そりゃないぜ?」
聞き訳無さすぎだから、パパ。
「仕事の合間に顔出ししてくれるのは良いけど、必要以上に病院に来ないでね。皆の負担になりたくないから」
眠ってた一週間もきっと心配も迷惑も沢山かけたはず。
だから、これ以上、皆に負担かけたくない。
「お前はそんな心配するな。俺も虎丸さんも好きでやってることだ」
ポンポンと頭に手を乗せた由來。
そう言ってくれるのはありがたいけど、由來やパパご無理すれば他の皆にも皺寄せは行くんだよ。
そんなの嫌だ。
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