第10話
三人が病室に集まって10分ぐらいしてから、主治医がやって来た。
病室の応接セットに座る三人と主治医の顔は何処か険しくて。
「亜理子もこっちで一緒に聞け」
由來は、ゆっくりと私の方へやって来るとパジャマ姿の私をお姫様抱っこした。
「なっ...何すんのよ」
なんて恥ずかしい事を。
っうか、自分の事だから聞くけどさ、せめてベッドの横ある車椅子に乗せてよ。
顔を赤らめた私の抗議なんて知らんぷりで、由來はソファーまで歩いていくと私を膝に乗せたままそこへ座った。
いやいや...なんですか? この羞恥。
由來の膝の上に横向きに座らされてる私の腰には、ガッツリと由來の腕が回っていて。
対面のパパも宇佐美組長も、呆れ顔だし。
主治医の先生は若干目のやり場に困ってる。
「下ろして...」
私の抗議は、
「無理」
の一言で終わらされる。
「こっちが無理だし」
「大人しくしてろ」
「いやいやだったら下ろそうか?」
「先生、話を始めてくれ」
うわぉ! 私の事無視して話を進めようとしてる。
ちょっとちょっと。
「いや、だから下ろせ」
由來の腕を引っ張った。
「静かにしてろ。先生が話せなくて困ってる」
由來の言葉に先生を見たら、ファイルを手にしたままどうしたものかと戸惑ってた。
...チッ、由來のなすがままなのは嫌だけど、仕方ないから今は大人しくするしかないわね。
唇を尖らせたまま由來を睨んで、一先ず大人しくなった。
「では、亜理子さんの今後と現状をお話ししたいと思います」
落ち着いた声で話始めた先生。
「頭は頭皮が少し切れただけで特に大きな外傷も内部的な損傷もありません。腹部の臓器からの出血は縫合により処理しましたので今後は時間の経過と共に治っていくと思われます。問題なのは最後に発見した大腿骨の複雑骨折です。こちらがかなり厄介で、リハビリによって日常生活に支障のない所まで回復しますが、激しいスポーツなどは難しくなると思います。その他は事故の衝撃により受けた高圧外傷となっており、そちらは日にちとリハビリで元の体へと戻っていきます」
先生は一気にそう話した。
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