第4話

「ククク...顔赤けぇぞ?」

満足そうに笑うな。


「イチャイチャするのは二人だけの時にお願いしますよ。アテラレテシマイマス」

後半、カタカナだったのは何故?

黒い笑みの玲哉。


「うっせぇ。仕事すりゃ文句ねぇだろ?」

由來は、玲哉を睨み付ける。


「ええ、問題ありませんよ」

フフフと薄く笑う玲哉。

この二人の目線の間にビームが流れてる気がするのは気のせいだろうか?


「じゃあ、言ってくる」

私の頭を撫でた由來。


「うん、仕事頑張ってね」


「ああ、良い子にしてろよ」

良い子って...子供じゃないんだし。

背を向けて歩き出す由來。


「では、またお見舞いに来ます」


「ありがとう、玲哉。由來を宜しくね」


「もちろんです」

玲哉は一礼すると由來の背中を追うように部屋を出ていった。

フフフ...二人は相変わらずね。

って言うか、私が眠ってた間、迷惑かけちゃってたみたいね。


コンコンコン、ノックされたドア。


「はい、どうぞ」

と返事すれば、

「採血の時間です」

と看護師さんがワゴンを押しながら入ってきた。

担当してくれてる市原さんだ。

見た目年齢20代後半。

ベッドの側までやって来ると、カチャカチャと採血の準備を始める市原さん。


「あら、宇佐美の若は帰られたのね?」

私の方へと腕にゴムを巻いて消毒しながら聞いてくる。


「あ、はい。仕事だって連れてかれました」

フフフと笑ってそう答えたら、

「お仕事溜まってたでしょうね。亜理子さんが運ばれて来て今日までずっと付きっきりだったもの」

羨ましいと微笑んだ市原さん。


「えっ? マジで?」

ずっとって....そんなに?


「ええ、24時間ここに居ましたよ。ほら、このお部屋シャワーもあるから寝泊まり出来るし」


「...24時間って..私が目を覚ますまで...ずっと」

由來に無理させちゃってたなぁ。


「ほら、そんな顔しない。若にそんな風に思われてるのを喜んでとても幸せな事だもの」

市原さんはお姉さんみたいだ。


「そうですね。幸せです」

ありがとう、由來。


「うん。笑顔の方が断然可愛い。チクッとするね」

市原さんは笑顔で消毒をした腕に躊躇無く注射針を刺した。

うっ...痛ぁ~い。

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