第4話 家族との再会
懐かしい、実家の前に到着する。
ガチャ。
「た、ただいまー…」
「あ、おかえり勇気」
そこには、エプロンをつけて生きている母さんがいた。
「か、母さん…」
俺は立ち尽くし涙ぐんだ。
「何、そんなとこに突っ立ってるの?早く入りなさい」
若干首を傾げながら母さんはそう言葉を発した。
「うん、晩御飯楽しみにしてるよ」
「はいはい、変な勇気」
階段を登り10年ぶりに実家の自室に戻ると、当時と変わらないまま、あの自分にとってのオアシスがそこにあった。
漫画棚、勉強机、好きな野球選手のポスター、ライトを強引につけたベッド全てが当時のままだった。
(うわー懐かしい。この漫画は確かラスボスがヒロインの父親とかだったけ…まだ完結してないんだな。うわーこのデカいポスター小谷選手じゃん。未来ではメジャーリーガーだけどこの時代はまだ日本のリーグか…)
懐かしいルームツアーをしていると睡魔が襲ってきていつの間にかベッドに横たわり目を瞑って寝てしまっていた。
□□□
「おにい、起きて」
「んん、もうちょっと…ってえ!友恵!」
目を開けると、3歳下の妹の
「ちょ、おにい何でそんな驚くの」
俺は久しぶりの妹との再会に胸を躍らせた。
というか感動していた。
「友恵!なんか困ったことはないか?悩み事はないか?あったら何でも兄ちゃんに言うんだぞ!!!」
「は、きもシスコンかよ。まあいいや晩御飯できたって早く下行くよ」
「う、うん」
(まさかの数年ぶりの再会だってのに酷いこと言うなこいつは。まあ、こいつからしたら半日ぶりの再会ぐらいだから無理もないか…。それにしても、まだ幼いなー。未来では結婚先越されてるんだけどなー。まあでも友恵も災難だったよな…あんなDV夫)
「なあ、友恵」
「何?」
「大学入ったら、合コンには行くなよ」
「は、何言ってるの?」
友恵は冷ややかな目でこちらを見てくる。
(まあ、今は関係ないか)
「い、いや何もない」
二人でダイニングに入ると、母さんのお手製の肉じゃががテーブルに並んでいた。
「おー今日は肉じゃがかー。母さんいつもありがとう」
「なんか、今日の勇気変ね。いつもは、うわー今日も肉じゃがかよもっと他のものないのー。とか言うくせに」
母は、息子の様子が変わったことにいち早く察している。
さすが、母親という他ない。
「本当、今日のおにいはなんか変だよ」
友恵が追撃してくる。
「まあ、たまにはそんな日もあるさ。いただきます」
俺はそう言って誤魔化し肉じゃがに箸をつける。
(何年ぶりだろうか、母さんの手料理。やっぱり薄味なところは変わってない)
「そういえば父さんは?」
俺が母さんに問う。
「なんか、今日も残業見たいよ」
「そうなのか…」
(そういえば、父さんは忙しい人だったもんな。警察官だったけど仕事の話は家で一切しなかったっけか…)
食事を終えお風呂に入り部屋へと戻る。
俺はベッドに横たわって深く息をついた。
(この世界が、現実かどうかまだ定かではないがこんなにゆっくりふかふかの布団で休めるとはな…)
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