(旧)第2話 商人クエスト

翌日の朝、僕らは依頼主の馬車5台と、ともに商業ギルドを出発した。


30分経った頃だった。

あたり全体が麦畑なところにポツンとひとが何人か集団で立っている。

よくよくみれば槍みたいなのを持っていた。

あれが最初に言った山賊だ。

こっちもかなりの人数がいるから襲われることはないだろう。

でも襲わないと言う保証はない、取り敢えずルナに知らせるか。

「ルナー、山賊がいるぞ。近くに隠れてないか見てくれないか。」

「…」

「ルナ?」


返事がないから僕は後ろを振り向いた。

何やらコソコソ何かしている。

めっちゃ嬉しそうに。


「とっておきのこのワイン、クエスト終わったら独り占めしよっと」

と言いながらカバンからワイン瓶を取り出した。


1本、2本、3本…6本と出てきた、荷物全部ワインかよ。

クエストで護衛に持っていくのは装備とか包帯とかだろ、高級ワインは邪魔なだけなのに。

あとワインを黙って独り占めしようとしたことは許せない!。


「独り占めするなら飯抜きだぞー」

「えっ聞いてたの!それだけは勘弁してください」


独り占めさせるのは、やだからな。

取り上げたが、黙っとくのが悪い。


「じゃーこのワインいただくねー」

「あっちょっと、こら!それ私の!返して」


ガブ


「いてー噛みつきやがった!冗談だから放せって...こいつ固い」



山賊の縄張りを抜け、そのあとは安全な道になった。

やっかいごとが起こらなくて安心した、緊張はなかなかとれないものだな。

後で寝ているルナが羨ましい。

昼になったころ、僕らは、ルズカの森に入った。

虫の音がものすごく聞こえだした。

この森はよく人が消える噂がギルドであった。

ギルドが討伐依頼を出したA級モンスターも最近よく近くで出現したらしい。

遭遇しないことを祈る。


前にいた馬車が止まり、騒がしくなった。


「大トカゲが出たぞー」


全長3mの巨大なトカゲで子供や旅人が襲うF級モンスターだ。

返り討ちに会い犠牲が絶えないとか、この世界は馬鹿な奴しかいないと思う理由の一つである。


無防備であれば対処不可死が確定する、馬の2倍もの速度で襲ってくるから逃げるから逃げてもペロリと食べられてしまうのだ。

子供達や無防備の商人が食われるのは残酷だ。


「あっ美味しそうなトカゲ!塩で味付けすれば絶品だ」


隣のやつは獲物と言っているがそれは置いておこう。

脳筋冒険者たちでは、歩くチキンフライと言われてるらしい。

ルナもその一員なのだろうか?。


そんなことを考えている時だった。

大トカゲがルナに一直線で走ってきた。

前の馬車をよけてルナに飛びかかった。

このままだと、ルナが食われる。

トカゲの口に入る寸前。

スパッとトカゲの頭をバラバラに切った。



「丸焼きにしようかなー、醤油ニンニク砂糖で味付けすると美味しいんだよね...想像するだけでよだれが止まらない」


トカゲがまだ動いているにもかかわらずルナはなんやら、料理の話をしている。


「フェルナンド、ニンニク醤油ミリン砂糖を持ってきて、絶品をつくるからさ」


「パクッ」


ルナは味付けの材料を言いつつトカゲから吸い上げられるように飲み込まれた。


そういえば大トカゲは首を跳ねても生き続けるほど生命力と再生力があったんだった。

「フェルナンド早く持ってきて新鮮な内に調理するぞー」

「まずはそこから出たらどうなんだ」

そう言ってもルナはもう自力で出られないところまで入っていた。


ルナに当たらないように剣でトカゲの心臓を刺し、彼女を中から出した。


…困った人だ。


出たのもつかの間、飛び出しトカゲを串刺しにして焼き出した。


食べる事と飲むしか本当に頭にないのか...

てかそんなスキルあるなら食事に困らんかったはずなのに餓死仕掛けてたんだろう?。


10分そこらでオオトカゲ串焼きが完成してしまった。

できたものは仕方ない、食べよう。

「いただきます」

こんなに油の乗った肉は食べたことがない。


ニンニクと醤油の相性もいいし。


クエスト依頼者も気づけば一緒に食べてた。


「うまい!嬢ちゃん料理得意なんだな」  (嬢ちゃん=ルナ)

「前お金がなさすぎて食べるものがなく気づいたら、モンスター料理が得意になってました」


近くのモンスターが妙に少ないなと思ったらそう言うことか。

そんな冗談を言う平和な時間も消えつつあった。

妙だ、辺りが急に静かになった。

あまりに静かすぎて全身が震えるほどだ。


その直後地面揺れ出した。大木が倒される音。


「フェルナンドくん下がって」

ルナが真剣な目でいう。


それと同時に辺りが静まり返る。

いる、前の大木の後ろに。

「急いで下がれ何か来るぞ」

前の人が慌てて行った。


左から何か来る。


山からものすごい速度でこちらに近づいてくる。


10mはある木々が吹っ飛ぶ光景はこの手足が動かなくなるほど怖かった。


近づいて来る物の勢いは収まらず道の目の前に現れた。


木々の大きさを超える黒紫色の堕龍だった。


鋭い爪で一瞬に前の馬車を吹き飛ばし粉々になった。


感じたこともない恐怖が神経に走る、紫の気を纏うあの龍は悪魔だ。


気絶しそうな圧を感じる。

まるで全てを破壊しそうだ。


それを押し除けルナは龍に何事もなかったように冷静であった。


彼女の後ろ姿は立派な剣士の姿だった。


なんかルナの足が…震えているけど。


「さっ…さっと…片付けてやりま…しょう」

めっちゃ怯えてる。


一度深呼吸をして心を安定させ次の瞬間、あたりの空気が変わった。

食い物しか頭にないルナはどこへ行ったのかと、思うほど目つきも変わる。


龍の爪が彼女を襲うもルナ​は​跡形もなく切った。

続けて龍は攻撃をするもののルナに呆気なく龍は切られた。

今の彼女は正直恐怖である。

龍に近寄り腰を下げてじっくり見ている。

「ルナ!龍をやれたか?」

「やったよ。だけど腰が抜けたから助けて。」


ちょうどその頃龍討伐隊が到着し、びっくりしていた。

一人の魔法使いは言う。

「50人で倒せなかった龍が…」


そんなこんなでギルドについた。


「A級モンスター討伐ありがとうございます。報酬として金貨100枚を差し上げます。」


気づけばルナが1年遊んで暮らせる大金をもらっていたのだ。

しかし、その大金をどう使うのやら。


「ルナその大金どうするの?」


「大家さんに頼んでワイン返してもらう。家賃未払いで没収されてるからね。返ってくるのが楽しみだ」


さすがルナ酒に人生をそそいでやがる。

そんな300本を買い戻したところでどこに置くんだろうか。こんな金遣いが荒い女性とは関わりたくないもんだ。


「では、僕は失礼するよ。その金をお酒だけに使わず将来に行かすんだぞ。また飢餓状態になるなよ。これで一生さようならだ」


「大丈夫、大丈夫。私がそんことするわけなおじゃん」


僕はギルドを出て商業クエストを受けに行った。

そんなこんなで1週間がたった。


僕は今日冒険者ギルドへ行き、ルナの状況を聞きに来た。


扉を開け入った瞬間だった、前と違って柱にホームレスっぽい人が腰を掛けていた。

僕はその人を避けつつ、ギルド職員に聞いく。


「いらっしゃいませ、どのような用件でしょうか?」

「ルナっていう元剣士を探しているのですがいませんでしょうか?」


「見てないですね最近は、隣町にでも引っ越したんじゃないですかね?」

「そうですか、それは残念」

流石にいないか。元気にしてるといいんだが。

「よし帰るか」

ギルドを抜けようと柱にかかた瞬間、突然小さな声が聞こえた。


「フェルナンド!」


見返すとそれはさっき話したホームレスだった。誰だこの人。


「フェルナンドの言った通り、使いきっちゃった」


よくよく見ればルナではないか!


「そこにいたんだ。2日前から誰だろうと思ったら」と受付の人もビックリしていた。


取りあえずギルドの店でご飯を頼んで話を聞くことにした。

「で、何があったんだ」


話聞いて僕は驚いた。1つでも売ればいいところを300本のワインを5日で飲み干したらしい。

A級モンスターを倒したせいでモンスターが出なくなって、サバイバルスキルも役にたたなかったな。

金貨10枚預かっててよかった。

でないとルナはいま一文無しだったからな。


これをあと何回するのやら?





<詳細情報>


A級=村を破壊するほどの脅威の生命体(ルナは、こっちに分類されるかな?)

F級=一般人は対処が困難。村人をよく食べる。



金貨1=10000円

銀貨1=1000円

銅貨1=100円

鉄貨1=10円 


この金貨はみんなが思う純金で出来ているのではなく、コインの真ん中に小さい金が埋められているものである。

でてこないが純金貨は金貨の100倍の価値がある。純金で出来ててかなりでかい。

ちなみにそれぞれ10枚持つのは非常に不便なため1と5で区切ってる。


例:7銀貨=大銀貨1枚小銀貨2枚渡される

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ルラン魔法王国から世界へ:少年フェ ルナンドと帝国の秘密 宙道123 @tyuudoukennta

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