第2話 最初の商人クエスト


翌日の朝僕らは依頼主の馬車5台で隣町に向かって進みだした。


俺は馬車を走らせている。


三十分もするとさすがに暇になった。


見たことない鳥やモンスターがいるものの、研究者でもない俺は飽きる。


「ルナー、今何してる?」

「ルナ?」


返事がないから後ろを振り向いた。

何やらコソコソ何かしている。

めっちゃ嬉しそうに。

「とっておきのこれ、クエスト終わったら独り占めしよっと」

と言いながらワインビンを取り出した。

1本2本3本…6本と出てきた、荷物全部ワインかよ。

「独り占めするなら飯抜きだぞー」

「えっそれだけは勘弁してー」

独り占めさせるのは、やだからな。

悔しそうにルナはしてたけど。


昼になったころ、ルズカの森に入った。

虫の音がものすごく聞こえた。

この森はよく人が消える、ギルドが討伐依頼を出したs級モンスターでる危ない森だ。最近よく近くで出現するとか。


気づけば森の半分を進んでいた。

前にいた馬車が止まり騒がしくなった。


「大トカゲが出たぞー」


全長3mの巨大なトカゲで子供や旅人がよく襲われるd級モンスターだ。


無防備であれば一人で対処するのは非常に難しい、馬の2倍もの速度で襲ってくるから逃げることもできない。

よく子供達や無防備の商人が食われる、恐ろしいやつだ。


「あっ美味しそうなトカゲ!塩で味付けすれば絶品なんだよな。」


なんか隣で獲物と言っているヤバい奴がいるが置いておこう。

冒険者ギルドでは、歩くチキンフライと言われてるらしい。


その時だった。

大トカゲがルナを襲う。

このままだと、ルナが食われる。

その事を思うもつかの間、スパッとトカゲの頭切ってしまった。


「丸焼きにしようかなー、醤油ニンニク砂糖で味付けすると...想像するだけでよだれが止まらない」


彼女は独り言をいい出した。


「フェルナンド、ニンニク醤油ミリン砂糖を持ってきて、絶品をつくるから」


「パクっ」


ルナは味付けの材料を言いつつトカゲの胃の中に飲み込まれた。


そういえば大トカゲは首を跳ねても生き続けるんだった。

「フェルナンド早く持ってきて新鮮な内に調理するぞー」

「まずはそこから出たらどうなんだ」

そう言ってもルナはもう自力で出られないところまで入っている。


ルナに当たらないように剣でトカゲの心臓を刺し、彼女を中から出した。


困った人だ。


出たのも束の間トカゲを串刺しにして焼き出した。


食べる事しか本当に頭にないのか、てかそんなスキルあるなら食事に困らんかったはずなのになんで餓死仕掛けてたんだろう?…まいっか。



「いただきます」

油の乗った肉は食べたことがない。


ニンニクと醤油の相性もいいし。


クエスト依頼者も気づけば一緒に食べてた。


「うまい穣さん料理得意なんだな」

「前お金がなさすぎて食べるものがなく気づいたら、モンスター料理が得意になってました」

そんな引く冗談を言う平和な時間も消えつつあった。


妙だ、辺りがすごい静かだ。あまりに静かすぎて全身が震えるほどだ。


その直後地面揺れ出した。巨大な足音のような。


「フェルナンドくん下がって」

とルナが真剣な目でいう。


それと同時に辺りが鳥肌が立つくら静かになっていた。

「急いで下がれ何か来るぞ」

と前の人が慌てて行った。


左から何か来る。


山からものすごい速度でこちらに近づいてくる。


10mはある木々が吹っ飛ぶ光景はこの手足が動かなくなるほど怖かった。


近づいて来る物の勢いは収まらず道の目の前に現れた。


木々の大きさを超える黒紫の堕龍だった。


鋭い爪で一瞬に前の馬車を吹き飛ばし粉々になった。


感じたこともない恐怖が神経に走る、紫の気を纏うあの龍は悪魔だ。


気絶しそうな圧を感じる。

まるで全てを破壊しそうだ。


それを押し除けルナは龍に何事もなかったように冷静であった。


彼女の後ろ姿は立派な剣士の姿だった。


なんかルナの足が…震えているけど。


「さっ...さと..片付けてやりま...しょう」

めっちゃ怯えてる。


一度深呼吸をして心を安定させ次の瞬間、あたりの空気が変わった。

食い物しか頭にないルナはどこへ行ったのかと、思うほど目つきも変わる。


龍の爪が彼女を襲うもルナ​は​跡形もなく切った。

続けて龍は攻撃をするもののルナに呆気なく龍は切られた。

今の彼女は正直恐怖である。

龍に近寄り腰を下げてじっくり見ている。

「ルナ!龍をやれたか?」

「やったよ、腰が抜けたから助けて」


ちょうどその頃龍討伐隊が到着し、びっくりしていた。

一人の魔法使いは言う。

「50人で倒せなかった龍が...」


そんなこんなでギルドについた。


「s級モンスター討伐ありがとうございます。報酬として大金貨10枚を差し上げます。」


気づけばルナが一年遊んで暮らせる大金をもらっていたのだ。

ルナの事だからすぐ酒に使っちゃうんだろう。


「ルナその大金どうするの?」

「大家さんに頼んでワイン返してもらう」

酒に使うのは当たった。

300本買い戻したところでどこに置くんだろう。


そんなことを考えて2週間、全部飲み干しやがった。

こいつなんで生きてんだ。

 大金貨9枚(90万)を一週間で使ったもんだから

会った時はまた餓死寸前だった。


s級モンスターを倒したせいでモンスターが出なくなって、サバイバルスキルも役にたたなかったな。

一枚取っといてた金貨でまた飯を奢った。


これを後何回するのやら?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る