葬儀屋のターン

 会員を断った翌日には売り上げを伸ばそうと「この花を買わないのはおかしい、変だって笑われる」云々。お礼のハガキも増やさないとダメだとか躍起になっている。 

 故人の年齢をご丁寧に“満”を添えて間違えていた、あのハガキをか?


 当初は別の葬儀屋さんに依頼するはずだった。ところが先方は人気で、日程が一週間先になってしまうとのこと。やむなくこちらにお願いする運びとなった。会員になってもそういった場合に優先されることは無いらしく、ならば単なる積み立てでしかない。正直なのは好感が持てる。

 でも担当者も調子だし、会員どころか二度と関わり合いになりたくない。


 挙句の果てには葬儀が終わって自宅で清算の話になった時「これが最後のチャンスだ」と言いだした。ちなみに女性です。プレ後日談。


 仏壇と位牌を売りたい彼女曰く「うちのを買えば間違いない」そうで、何でも「別々に買った為に大きさが合わず、仏壇に位牌が入らないことがよくある」らしい。


 そんな間違いある?


 兄がニヤけるのを私は見逃さなかった。多分同じことを考えている。


 位牌はそんなデカくないだろ。

 位牌の入らない仏壇ってどんだけ。

 小さいよ、小さい。ヴィレヴァンで売ってそう。バンダイさんが精巧なミニチュアを作ってそう。でも実装しようとは思わないでしょ。


 間違えちゃった人たちが実在するとすれば、恐らくこの人からだけは絶対に買いたくなかったのだろう。



 と思っていたのだが



 先週末に仏具屋さんへ行ったら、あながち嘘ではないかもしれない気がしてきた。盛っているとは思う。こちらは後日談でお話します。






 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る