第3.5話 染宮花音の独り言

 家に帰ると夕ご飯の匂いがした。正直特盛りの牛丼を食べたから入りそうにない。それに食べ過ぎてしまう。お母さんに夕ご飯いらないと伝えると怒られた。そういうことなら連絡しなさいとのこと。こんな事初めてだったから今後は気をつけなきゃと思いながら謝った。


 私は自分の部屋へ入りベットに身体を預ける。するとお腹いっぱいだった事もあり眠気がやってきた。それを私は受け入れ瞼を閉じる。


『染宮さんの成績ならもっといい高校へいけるわよ』

『花音、あなた本当にそれでいいの?』

『化粧なんかよりもっと勉強しろ』

『染宮さんは違う学校に行くんですね』


 嫌な夢に目が覚める。中学時代の事なんて思い出したくもなかったのに。スマホで時間を見ると二時間寝ていたようだ。鏡を見ると髪がぼさぼさになっていて可愛くなかった。私はお風呂に入りたくなってリビングでテレビを見てるお母さんに聞いてみる。


「お母さんお風呂できた?」

「出来てるわよ。ぬるくなっちゃうから入っちゃいなさい」


 私はすぐにお風呂に入る準備をして洗面所に向った。制服を脱ぎブラを外し最後にパンツを脱いだ。そして私はパンツを見る。これが皆に見られたと思うと恥ずかしい。髪色やネイル、香水とか色々変えてきたけど下着なんか見られないと思って中学のままだった。見られると思わないじゃん⋯しかも初日に⋯


 私は湯船に浸かりながら今日の事を思い出す。いきなりパンツを下ろされた事から始まり色々な事があった。戻ってすぐに隣の女の子が心配そうに声をかけてきたけど目は笑っていた。男子達はチラチラと見てくる。下げた張本人は何食わぬ顔で過ごしてる。私はそれが気にいらなくてその張本人を連れ出して怒りをぶつけた。


 張本人は最初は仕方なさそうな顔をしていたけど次第に反省している様子だった。私の怒りも思い切り発散したのもあって何だかスッキリしちゃってた。


 お腹が減ったから何となく張本人を誘ってみた。何の文句も言わずに一緒に牛丼屋に入ってくれる。ちなみに牛丼屋にしたのは他のクラスメイトと会わない為でもあった。今日の私の事をネタにして楽しんでるに違いなかったからだ。


 牛丼屋で色々話した。私の話しを聞いてるのか聞いてないのかいまいちわからなかったけど聞いてもらえるだけで何となく楽になった。


 帰りにロインを交換したら何かよく分からないうちに胸を揉まれた。私は凄く恥ずかしくなって殴っちゃったけど凄い勢いの自転車から私を守ろうとした結果だから仕方ない。仕方ないの?


「初めて男子に触られたな⋯」


 湯船に浮かぶ膨らみを持ち上げながら誰もいない浴室でひとり呟く。


 部屋に戻り明日の準備をしているとドアの前で鳴く声がする。私がドアを開けると鳴き声の主、我が家の癒し三毛猫のシャーロックが遊びに来た。私はシャーロックの頭を撫でるとすりすりとおでこを擦り付けてくる。私はそれがとても愛らしかった。


 そういえば多田野に何のメッセージも送ってなかったことに気づきこの可愛いシャーロックの写真を送ってあげる事にした。私が抱き抱えてもシャーロックは抵抗もせず、なんならカメラ目線までしてくれている。私はスマホを持つ手を挙げてシャーロックが全身撮れる様にカメラをセットした。撮影をタップしてシャーロックが撮れてる事を確認するとすぐに抱き抱えてる腕を緩める。するとスルリとシャーロックは抜け出し部屋から出ていく。


 私はすぐにシャーロックの写真をロインで多田野に送った。


『うちの子可愛いでしょ?』


 しばらくして返事がきた。


『まぁそうだな』

『猫好きじゃないの?』

『普通』


 なんとなく予想はしていたけど反応が薄い。猫可愛いのに。そんな風に思っていたら多田野からメッセージが来る。

『その、なんだ。写真送る時は気をつけた方がいいぞ』


 私はそのメッセージの意味がわからなかったから写真を見返す。するとすぐに失敗に気づいた。


 お風呂上がりでノーブラかつパジャマの胸元がはだけて谷間が強調されていた。身体全身が一気に熱くなる。私はすぐにメッセージを返した


『保存とか絶対しないでね!』


 私は何回多田野相手に恥ずかしい思いしなくちゃいけないんだろう。私は枕で顔を埋めているとピロリンと通知がなる。


『しねーよ』


 それはそれでどうなんだと思いながら私は疲れて寝る事にした。

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異世界転生すると思ったら高校時代にタイムリープでついでに貰ったスキルはラッキースケベでした 秋月睡蓮 @akizukisuiren

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