第23話 信念4!

メキシコ某所、山中の麻薬組織拠点制圧作戦


メキシコの山奥、静寂に包まれた深い森の中に突如として現れる豪奢な邸宅。それは外部からのアクセスが極めて困難な場所に隠された麻薬組織の拠点の一つだった。だが、この日、その静けさは破壊と混沌の嵐に飲み込まれる。




包囲準備と防音シールド展開


ドローン部隊は既に邸宅を完全に包囲していた。その動きは正確かつ迅速。敵に気づかれることなく、各ドローンが所定の位置につき、防音シールドを展開。これにより、どれだけの爆発音や銃撃音が響こうとも、この静寂は外界に漏れない。




エルザはスカウターから得た情報を確認しながら、「救出対象4名の確保完了」の報告を受けると、にやりと笑みを浮かべた。彼女の手にはRPG(携行式ロケット弾発射器)が握られている。




豪邸の崩壊


「さぁ~って、いっくよ~!」


エルザの明るい声が響き渡った瞬間、RPGが放たれる。ロケット弾は豪邸の正面扉を目指して飛び、轟音と共に巨大な火柱を上げた。その爆発がまだ収まらないうちに、エルザはRPGを投げ捨て、次に手にしたのはМ134ミニガン。弾薬を詰め込んだ巨大な武器が彼女の手で吼え始める。


「キャハハハハハハハハハハ!」


狂喜乱舞するかのようなエルザの高笑いと共に、毎分4000発の弾丸がミニガンから放たれる。火線は邸宅の壁を穴だらけにし、天井は音を立てて崩落。内部に潜む麻薬組織の構成員たちは、逃げ場を失い、次々と倒れていった。悲鳴がこだまし、もはや豪邸は居住空間ではなく、戦場そのものとなった。




エルザは予備として持参していた5機のМ134ミニガンを次々と取り替え、途切れることのない攻撃を続けた。すさまじい連射速度の弾幕が、組織の残党に逃げる暇を与えない。瓦礫と化した邸宅の中で、生命を維持している者はいなくなっていく。




15分後、エルザはスカウターから「生体反応なし」の報告を受けるまで撃ち続けた。ドローンも各所を確認し、逃げ出そうとした者がいないことを再確認する。豪邸は完全に瓦礫と化し、その残骸の間から黒煙が立ち上るのみ。




「はぁ~、やっちゃったわね~。」


エルザは肩を軽く回しながら満足そうな顔を浮かべた。「ちょっと時間オーバーしちゃったかな、でも、気持ちよかったからいいか!」


彼女の声には後悔どころか、達成感しかない。ミニガンを持ち直しながら、崩壊した豪邸を眺める彼女の姿は、戦場の破壊を楽しむアーティストのようでもあった。




次のターゲットへ


エルザはふと、スカウターの画面に目を向けた。次の拠点が既にマークされている。ドローンから送られる情報を確認しつつ、エルザは瓦礫の山を背に歩き出した。その表情は満足げで、次の戦場が待ち遠しいかのようだった。




「さ~て、次も楽しくやるわよ!」


エルザの明るい声が山間に響き渡る中、彼女とドローン部隊は次なる麻薬組織の拠点に向けて進撃を開始する。その背中からは、破壊と混乱を巻き起こす彼女の本能が感じられるようだった。






中国某所、麻薬組織の拠点制圧作戦 ~ジャネットの冷徹な実験場~


中国の奥地、人里離れた広大な工業地帯の一角。そこに存在するのは、麻薬組織の隠れ拠点。外から見る限りではただの倉庫群にしか見えないが、内部は広大な地下施設へと繋がっており、67名の武装した構成員が厳重に警備していた。だが、この日、彼らの拠点は一人の冷徹な研究者によって“実験場”へと変えられる。




ジャネットは現場に到着すると、平然とした表情でスカウターを操作。周囲を取り囲むドローン15機、虫型偵察機300体の配置を確認する。彼女の計画はすでに練り上げられており、その一つひとつの指示には寸分の狂いもなかった。




制圧開始 ― ワクチン実験の準備


「ドローン、目標を無力化しなさい。ただし、殺してはダメよ。生きた状態で彼らを確保するのが最優先。」


ジャネットは冷静に指示を出すと、スカウターに映し出される敵の位置情報を注視する。ドローンは無音で動き、電磁パルスや麻酔弾を用いて敵の武装を無力化しながら一人ひとりを確保していった。虫型偵察機は細かなセンサーで施設内をスキャンし、すべての敵の位置を把握。これにより、効率的かつ迅速な制圧が進んでいく。




「よし、無力化完了ね。」


無線でドローンから報告が入ると、ジャネットは満足げに頷く。




未完成ワクチンの投与


次の段階は、実験の開始だ。ジャネットはスカウターのインターフェースを操作し、ドローンに詳細な指示を与えた。


「無力化した27名に1・ワクチンを打ちなさい。その次の20名には2・ワクチン。最後の20名には3・ワクチンを。それぞれの経過を記録するのを忘れないでね。」




ワクチンはジャネットが個人的な研究として開発したものだが、どれも“人道的”とは程遠いものだった。彼女にとっては、目の前の人間たちは「研究サンプル」に過ぎなかった。




1・ワクチン ― 内部から溶ける身体


最初に投与された1・ワクチン。ドローンが注射器を用いて対象者たちにワクチンを打ち始めると、数分後に異変が起き始める。


血流に乗った薬剤が全身を巡るにつれ、対象者の皮膚が次第に黒ずみ、体内の組織が融解していく様子がスカウターに映し出される。悲鳴を上げる者もいれば、痛みに耐えきれず気絶する者もいた。




「面白い…予想より早い速度ね。完全に溶けるのは10分の計算だったけれど、8分ほどで終了しそうだわ。」


ジャネットは淡々とスカウターに記録されるデータをチェックし、その効率性に満足した。




2・ワクチン ― 異様に膨れ上がる身体


続いて、2・ワクチンが投与された20名。投与後わずか数十秒で彼らの頭部や四肢が膨れ始めた。


「膨張速度も悪くないわね。これなら破裂するまでの時間も2~3分程度で済む。」


ジャネットがそう呟いた次の瞬間、一人の対象者の頭部が破裂。血液と肉片が周囲に飛び散り、現場は凄惨な光景へと変わる。




彼女はそれでも冷静だった。「血液と組織の飛散範囲も記録しておいて。攻撃用としても十分に応用できそうだわ。」




3・ワクチン ― 脊椎の異常な変形


最後に投与された3・ワクチン。これを打たれた20名は、投与直後から背中を抑え苦しみ始める。骨が異常な方向に曲がり、軋む音が施設内に響く。人間の脊椎が限界を超えて変形し続ける光景に、ドローンすら警告音を発するほどだった。




「脊椎の限界点が思ったよりも早いわね。興味深い結果だけれど、改良の余地があるわ。」


彼女の指摘は冷酷で、まるで壊れた機械を見ているかのような感覚だった。




全拠点の制圧完了


15分が経過した頃、ジャネットはドローンからの報告を受ける。67名の敵はすべて無力化され、残ったのは彼女の実験に用いられたサンプルたちのみだった。すでに拠点内に生存者はいない。




「ふむ、予定通りね。全て記録できたのは良い成果だわ。」


ジャネットは瓦礫と化した施設を背に歩き出す。彼女にとって、ここでの殲滅作戦は一つの通過点に過ぎなかった。これから、さらに多くの実験を繰り返し、彼女の興味と研究は進んでいく。




「次の拠点も楽しみね。データが増えるのは良いことだわ。」


ジャネットの冷徹な声は、何かを失った静寂の中に響いていた。

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