第21話 信念2!

アフガニスタン某所、麻薬組織の拠点殲滅作戦


荒涼とした山岳地帯に隠れるように建てられた麻薬組織の拠点。リーイエはその1つを静かに見下ろしていた。冷たい風が彼女の髪を揺らし、手に持つ散弾型レーザー銃が光を帯びる。その背後では10機のドローンが編隊を組み、次の指示を待っている。




彼女はただの戦闘員ではない。万能頭脳特化型ホムンクルスとして設計され、戦略、戦術、指揮において彼女に敵う者はいない。だが、それだけではない。地球人の10倍以上の膂力を備えた彼女は、必要とあらば前線で直接戦うことも厭わない。




完璧な指揮の開始


「r-112、r-114、前方に進みなさい。」


リーイエの冷静な声が通信チャンネルを通じてドローンに命じる。2機のドローンが素早く前進し、拠点の周辺を警戒しながら監視を始めた。




「r-145、r-136、後方及び出口を封鎖。敵だと判断したものは殲滅。」


後方からの逃走を防ぐため、出口周辺にドローンを配置する。その正確な位置はスカウターとドローンが共有するリアルタイムの情報で計算されていた。




「r-124、敵の情報を全て私に送りなさい。」


索敵を担当するドローンが、建物内外の映像や敵の行動パターンを瞬時に解析し、リーイエに送り始める。彼女の脳内では無数のデータが高速で処理され、最適な戦略が構築されていく。




散弾型レーザー銃の破壊力


拠点の警備員たちは最初、彼女の姿を見ても戸惑っていた。だが、次の瞬間、リーイエの散弾型レーザー銃が放たれた。光の破片が扇状に広がり、逃げ場のない空間を作り出す。撃たれた者たちは一瞬のうちに行動不能となり、地面に倒れ込んだ。




「効率よくいくわよ。」


リーイエは一言だけ呟き、さらなる指示を出した。




「r-112、右翼の敵を処理。r-124、左翼の状況を送信。r-136、補強部隊を迎撃しなさい。」




ドローンたちは正確に指示を遂行し、建物内外の敵を次々と排除していく。彼らの反撃は、リーイエの計算の中で完全に予測されていたため、どれも無力だった。




警備員の一団が彼女に向かって突進してきた時、リーイエは僅かに微笑んだ。彼女の脳内では、その場の地形、相手の動き、武器の種類がすでに解析されていた。




「愚かね。」




そう呟くと、彼女は一瞬で懐に入り、近くの敵を散弾型レーザー銃の柄で叩き伏せた。その勢いは地球人の膂力を遥かに超えており、相手は簡単に吹き飛ばされて建物の壁に叩きつけられた。




その後、彼女は銃を振り上げ、扇状にレーザーを放つ。複数の敵が一瞬で無力化される中、リーイエは悠然と次の敵へと歩みを進めた。




建物内の全ての部屋をドローンが制圧し、リーイエ自身が最後の部屋へと進む。そこは麻薬を管理する幹部たちが集まる中枢だった。ドアを蹴破ると、慌てふためく幹部たちの姿が見えた。




「終わりよ。」




リーイエは冷徹に言い放ち、幹部たちを次々とレーザー銃で無力化した。彼女に抵抗する余地はなく、数分後には拠点全体が静寂に包まれた。




次の拠点へ


「全て終わったわ。次に行きましょう。」


彼女はスカウターを確認し、ドローンたちに次の目標を設定するよう指示した。まだ4つの拠点が残っている。リーイエは効率的かつ冷静に、次の任務へと進む準備を整えた。




彼女にとって、これはただの作業に過ぎなかった。目の前の敵を排除し、麻薬組織を効率的に壊滅させる。それがリーイエの役割であり、彼女はそれを完璧に遂行するのだった。






パキスタン某所、麻薬組織の拠点殲滅作戦


薄暗い空の下、エマはパキスタン某所にある麻薬組織の拠点の一角に立っていた。建物内では、無数の人々が恐怖と絶望の中で日々を過ごしている。今回の目標は、麻薬製造の拠点を制圧するとともに、攫われてきた人々を保護することだ。




エマは手に持つ小型端末を操作し、ドローン部隊の配置を確認する。優雅な立ち振る舞いとは裏腹に、その表情には冷静な決意が宿っていた。彼女の周囲では無数のドローンが編隊を組み、彼女の指示を待っている。




女性たちの救出


エマが建物内に足を踏み入れると、ドローンが警戒を強化しながら進路を確保する。彼女は静かに部屋を一つずつ確認しながら、異変を探していった。そして、ある部屋で怯えるように集まる9人の女性たちを発見した。




彼女たちはおそらく近隣の村や遠方から攫われてきた被害者であり、自由を奪われたままこの拠点で虐げられていたのだろう。エマはその場に立ち止まり、穏やかな声で話しかけた。




「安心して、もう大丈夫よ。」




女性たちはエマの言葉に半信半疑の表情を浮かべながらも、彼女が敵ではないことを理解し始めた。




シンとの通信


エマはすぐに艦長のシンへ通信を送った。




「艦長、こちらエマ、9人程保護したわ。」


『お~もしかして、「タコッ!」「マヌケッ!」』


通信越しに聞こえるシンの声の後ろでは、散発的な戦闘音が響いている。エマはその様子を容易に想像しつつ、冷静に報告を続けた。


「ええ。そうみたい。全員女性よ…どうする?一応、映像の方も送りましょうか?」


『いや、いい。「ウニッ!」「ギャッ!」』


シンの声の後ろで、敵を次々と片付けている様子が音だけで伝わってくる。エマは軽く溜息をつきながらも、彼の集中力を妨げないよう会話を続ける。




『とりあえず眠らせて後で記憶操作するか?「ダボがッ!」』


「ええ。そのほうがいいわ…辛い過去は消し去った方がいいわ。また、何かあったら連絡するわね。」


『あいよ。』




保護と次の作戦準備


通信を終えたエマは、近くに待機しているドローンへと指示を出した。




「e-151、彼女たちを眠らせて艦内に運びなさい。その後、待機。他は次の拠点に向かうわよ。」




e-151と呼ばれるドローンが指令に従い、女性たちに特殊な麻酔を施した後、安全に回収する準備を始める。他のドローンはエマの指示に従い、すぐさま次の拠点への移動を開始する。




エマは再び建物内を確認し、残された敵や重要な情報を見逃さないよう念入りにチェックを進めた。その一方で、攫われてきた女性たちの悲惨な状況が頭から離れず、胸の奥にわずかな痛みを覚える。


「聞いてたわね。」


エマは軽く呟きながら、ドローンが女性たちを安全に運び出していく様子を見守る。この地獄のような場所から救い出された彼女たちは、記憶操作によって辛い過去を忘れ、新たな生活を始めることができるだろう。




一方、エマはすぐに切り替え、次の拠点へと意識を集中させる。ドローンから送られてくるリアルタイムの情報を確認しながら、最適なルートと攻撃計画を練る。彼女にとって、これ以上の犠牲者を出さないことが何よりも重要だった。




「行きましょう。」


エマは静かに言葉を発し、ドローンと共に次の拠点へ向けて歩みを進めた。彼女の決意は固く、目の前の悲劇を終わらせるために、どんな困難にも立ち向かう覚悟があった。

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