第17話 美味し!6
中国で味わう至福の食事と酒・茶文化
中国の夜、エルザ、ヤシャスィーン、シグの3人は、とある名門料理店に足を運んだ。この店は中国料理の豊かな伝統を受け継ぎ、四川、広東、上海の三大料理を取り揃えていることで知られていた。歴史を感じさせる重厚な木製の扉をくぐると、朱塗りの柱と絢爛な装飾が施された内装が広がる。静かに流れる古琴の音色が耳に心地よく、席へ案内される途中、見事な書画や精巧な彫刻に目を奪われた。
広東料理の優雅な前菜
テーブルにはまず、広東料理の代表格ともいえる前菜が運ばれてきた。蒸し鶏の冷菜「白斬鶏」、ピリッとした辛味がアクセントの「涼拌海蜇皮」、そして繊細な味わいのエビの蒸し物。料理が並ぶと同時に、店員がグラスに注いだのは地元の果実酒「桂花酒」だった。
エルザが一口含んで「ほんのり甘くて、花の香りが優しいわね。料理の味を引き立ててくれる」と感想を漏らすと、ヤシャスィーンも「広東料理の繊細さに~、この酒はぴったり~」と頷いた。シグは涼拌海蜇皮を口に運びながら「このコリコリした食感、何度食べても楽しい。桂花酒とも絶妙に合う!」と語り、3人は笑みを浮かべた。
四川料理の刺激的な世界
次に運ばれてきたのは、四川料理の真髄を感じさせる一皿「麻婆豆腐」と、香辛料がたっぷり絡んだ「辣子鶏」。鮮やかな赤色とともに立ち上る香辛料の香りに、エルザが「これぞ四川料理ね。辛いだけじゃなく、香り高い」と声を上げた。
一方、ヤシャスィーンは「これは…見た目よりも辛いけど~、辛味の中にしっかり旨味がある~」と辣子鶏に挑戦し、シグも麻婆豆腐を口にしながら「舌が痺れるけど、この痺れる感覚が癖になる」と満足げだ。辛味の後には、地元の白酒バイチュウが供され、3人は辛さとアルコールの刺激を楽しんだ。
「この白酒、アルコール度数は高いけど驚くほどスムーズね」とエルザが述べると、ヤシャスィーンは「四川料理の後に飲むと~、味覚がさらに鋭くなる気がするわ~」と語った。
上海料理の洗練された味
メインディッシュとして運ばれてきたのは、上海料理の代表格「紅焼肉(豚の角煮)」と「蟹粉小籠包」。濃厚なタレで煮込まれた紅焼肉は、箸で簡単にほぐれる柔らかさ。小籠包は、皮を割ると中から濃厚な蟹の出汁が溢れ出た。
シグが紅焼肉を一口食べて「甘さと醤油のバランスが完璧!これ、ワインにも合いそう」と言うと、ヤシャスィーンも小籠包を頬張り「このスープ~、繊細で旨味が詰まってる。思わず夢中になる味~」と絶賛した。
ここで供されたのは、上海でよく飲まれる紹興酒。温められた紹興酒を一口飲んだエルザは「この香りと深い味わい、紅焼肉と合わせると最高ね」と微笑み、ヤシャスィーンも「食事全体が~ワンランク上に感じるわ~」と楽しんだ。
茶文化との融合
食後、3人が別室に案内されると、そこは伝統的な茶室だった。丸窓から月明かりが差し込み、静けさが漂う空間。店員が持ってきたのは、工芸茶「茉莉花仙子ジャスミンフラワープリンセス」。ガラス製のティーポットに湯を注ぐと、茶葉がゆっくりと開き、中から花が咲くような光景が現れる。
「美しいわね…」とエルザが感嘆の声を上げると、ヤシャスィーンは「飲むだけじゃなくて~、こうして目でも楽しむのが素敵~」と微笑んだ。シグは茶を口に含み「ジャスミンの香りが広がるけど、味は驚くほどスッキリしている」と語る。
さらに、緑茶の名品「龍井茶」も供された。湯呑に注がれた黄金色の茶を一口飲むと、エルザは「爽やかで、食後の重さをスッと消してくれる感じね」と感想を述べた。
夜が更け、満足感に包まれた3人が店を後にするころ、エルザが「食文化、酒文化、茶文化の全てがこんなに融合しているなんて、地球人の文化は本当に奥深い」と呟いた。ヤシャスィーンが「これを守るべきだと思うわ~こんなにも豊かな文化を壊すのはあまりにももったいないわ~」と頷き、シグも「彼らの文化をもっと学んで、自分たちの世界にも取り入れられるものを探したいわね」と微笑んだ。
月光が静かに照らす街並みの中、3人は茶の余韻に浸りながら、満ち足りた表情で宿へと帰路についた。
イタリアでの至福の食事とワインの饗宴
イタリアの小さな町の隠れ家レストランに、リーイエ、エマ、アイシャ、ダミルィ―の4人が集まった。暖かい照明が差し込む店内は、レンガ造りの壁と木製のテーブルが並び、落ち着いた雰囲気を醸し出している。厨房から漂うトマトやハーブ、オリーブオイルの香りが食欲をそそり、店内には地元の家族連れやカップルの楽しそうな声が響いていた。
ワインリストを手に取ったリーイエが「さて、今日はどれにしようかしら」と微笑むと、エマが「ここはトスカーナの名産地だし、キャンティ・クラシコが良いんじゃない?」と提案する。
「待って、まずは泡で乾杯しましょうよ」とアイシャが言い、スプマンテを選ぶよう勧める。一方で、ダミルィ―はメニューを眺めながら「料理に合わせて選ぶべきじゃない? 前菜には白、メインには赤。それに、ここでしか飲めない地元のヴィーノを試すのも良いですわ」と真剣な表情で述べた。
店のソムリエが近づき、彼女たちのやり取りを聞いて微笑むと、「素晴らしい選択眼ですね。この地域で作られた少量生産のスプマンテがありますが、ぜひお試しを」と提案。4人はそれに賛成し、最初の一本が決まった。
前菜とスプマンテ
最初に運ばれてきたのは、色とりどりのアンティパスト盛り合わせ。プロシュートやサラミ、オリーブ、そして新鮮なモッツァレラチーズが木のプレートに美しく並べられていた。
「乾杯!」4つのグラスが軽く音を立てる。スプマンテの細かな泡が口の中で弾けると、リーイエが「この爽やかさ、たまらないわね。塩気のあるハムと相性抜群」と語り、エマも「モッツァレラのクリーミーさを引き立ててくれるわ」と頷いた。
アイシャは、「スプマンテって軽くて飲みやすいけど、奥行きがあるのね」と驚き、ダミルィ―は「これは料理の邪魔をしないちょうど良いバランス。最初の一杯として完璧ですわ」と満足そうに語った。
パスタと白ワイン
次に登場したのは、レモンとバジルの香りが際立つシーフードパスタ。シェフ特製のこの一皿に合わせて、ソムリエが提案したのは地元の白ワイン「ヴェルメンティーノ」。透明感のある黄金色の液体がグラスに注がれた。
リーイエが一口飲んで「柑橘系の酸味があるけど、後味が丸いわ。これ、パスタにぴったりね」と感想を述べると、エマは「特にこのソースのレモン風味を引き立てるのが素晴らしい」と同意した。
ダミルィ―は「こういう料理とワインのマリアージュを見ると、地元の文化が凝縮されている感じがしますわね」と感慨深げに話し、アイシャは「この味わい深さ、何本か持ち帰りたいくらい」と冗談を言い、全員を笑わせた。
メインと赤ワイン
メインディッシュには、トスカーナの名物料理「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」が登場。厚切りのTボーンステーキが美しい焼き目を纏い、食欲をそそる香りを放っている。この豪快な一皿に合わせて選ばれたのは、熟成されたキャンティ・クラシコだった。
赤ワインの濃厚な香りを嗅いだアイシャが「これは…スパイスとブラックチェリーの香りがする。深みがあるわね」と目を輝かせ、エマは「肉の旨味とこのワインのタンニンが完璧に調和している。さすがトスカーナ」と評価。
「こういう料理とワインをゆっくり楽しむ時間、地球人の文化も侮れないわね」とリーイエが語ると、ダミルィ―も「でも、こうして飲むとますます彼らの繊細さがわかりますわ」と微笑む。
デザートとデザートワイン
最後に出されたのは、リッチな味わいのティラミスと地元のデザートワイン「ヴィンサント」。甘やかな香りがグラスから立ち上り、アイシャは「スイーツに合わせるのに、こういうワインがあるのは素敵ね」と語った。
ダミルィ―は「口の中で広がるアーモンドのような香ばしさが、ティラミスのマスカルポーネと絶妙に合うわ」と感心し、リーイエとエマも満足げに頷く。
すべての料理とワインを堪能した4人は、ゆっくりと立ち上がり、レストランの外へ出た。夜風に吹かれながら、アイシャが「地球人の食と酒文化、改めて面白いわね」と感慨深く語ると、エマが「こういう文化をもっと知りたくなる」と応じた。
リーイエは空を見上げながら「この星の伝統を守ること、無駄じゃない気がするわね」と呟き、ダミルィ―が「この味と時間の価値は計り知れないですわね」と微笑んだ。彼女たちの笑顔は、食とワインが繋ぐ豊かさを物語っていた。
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