第12話 成敗!

習近平はその日、かつてないほどの恐怖と痛みに直面した。彼の壮絶な体験が、かつての威厳に満ちた指導者の姿をも霞ませることとなる。




2019年11月初頭


未知のウイルスが武漢研究所から報告されたとき、習はこのウイルスの可能性に興奮を隠せなかった。「軍事目的として利用できれば、世界に対する影響力をさらに高められる」と考えた。しかし、その期待はすぐに失望へと変わる。ウイルスが研究所の外部に漏れ出し、武漢周辺で感染が拡大。数千人が罹患しているとの報告が上がった。


ロックダウンを発令しようとした矢先、急速な回復が報告される。何が起きているのか全く理解できない状況に、習は困惑した。




その後


平穏を取り戻した日常が続く中、習は突如、耐えがたい激痛に襲われる。それは身体の隅々にまで広がり、彼の心と体を無慈悲に蝕んでいった。名医たちに診てもらうが、誰一人として原因を特定できなかった。




「ヤブ医者どもが……!」と苛立ちを隠せない習だったが、痛みの前にはその怒りすら無力だった。歯を食いしばりながら、涙を流す日々が続く。「このままでは耐えられない……」と、何度も命を絶つことを考えたほどの苦しみだった。




1か月後


ようやく激痛から解放されたとき、習は言葉にならないほどの安堵を覚えた。「耐え抜いた……私は耐えたのだ……」涙が自然と頬を伝う。


その後に知る事実


同じ痛みに苦しんだ人々が何十人も存在したこと。そして、そのうち何人かはその痛みに耐え切れず、自ら命を絶ったという。「彼らの気持ちは痛いほど分かる……」と習はつぶやいた。




激痛が何によるものだったのか、真相は依然として不明だった。だが、その出来事は彼の心に深い傷を残し、自身の脆さと人間性を見つめ直す契機となった。




「同胞よ……どうか安らかに眠れ……」


その言葉が空虚な豪邸に響き渡るとき、習の中にかすかな人間味が垣間見えたのかもしれない。




2020年10月、東京オリンピックの終了から2か月後


習近平は一通の報告書を手に取り、内容に目を通していた。それは、日本で開催された東京オリンピックに関連する不正の数々を詳細に記したものだった。


報告書には、次のような不正が列挙されていた。




政府関係者や官僚による予算の不正流用


天下り先となった組織を通じた利権の配分


大手ゼネコンによる談合や過剰請求




しかし、習が目を留めたのはその先に記されていた「その後」の出来事だった。




報告書の記載:原因不明の激痛


オリンピック関連の不正に関わった何百人もの人々が、その後、突如として原因不明の激痛に襲われたという。




症状は全身を激しく苛むもので、夜も眠れないほどの苦しみが続く。


名医たちが診察を行ったが、原因を特定することはできなかった。


一部の被害者は、この痛みに耐え切れず、自ら命を絶ったと記されていた。


「……全く我々と一緒ではないか……?」


習は驚きと恐怖を隠せず、震える手で報告書を握りしめた。






「得体の知れない何か」


中国での出来事を思い起こさずにはいられなかった。あの地獄のような激痛……そして、それを引き起こした何かが日本でも同様に起きているという事実。




習は内心で確信していた。これは偶然ではない。何かが意図的に働いている。それは、人智を超えた存在なのか、または高度な技術を持つ勢力によるものなのか。




「我々だけではないとすれば、次はどこだ……?」


得体の知れない恐怖が、習の胸中を重く占めていくのだった。


この報告書を受けて、中国政府は緊急対策会議を召集する。しかし、原因がわからない以上、手の打ちようがない。「何者かによる介入」が囁かれる中、習近平は深く考え込んでいた。果たしてこの「罰」を与える存在は誰なのか?そしてその目的は?




その答えは、まだ誰も知ることができなかった。


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