第13話 ニセコ!

2020年も終わりが近づく12月、シンたち一行は北海道・ニセコを訪れていた。


彼らが滞在するのは、贅沢なひとときを約束する「ヒルトンニセコビレッジ」そこでは、心身ともに癒されるリゾート体験が待っている。




ホテルの窓からは、雄大な羊蹄山がそびえ立ち、冬の風景に雪化粧が美しく映える。世界的にも名高いニセコのパウダースノーは、スキーやスノーボードを楽しむ人々を魅了してやまない。


また、シンたちはウィンタースポーツの合間に、犬ぞりやスノーモービルといったアクティビティにも挑戦し、雪の中で笑顔を見せていた。




初めて体験したスキー、スノーボード、犬ぞり、スノーモービルに心を弾ませる。初めての挑戦に、最初は誰も滑ることができず、転びながら雪の冷たさを感じて笑い合った。だが、シンたちはナノマシンで強化された特別な肉体を持つ者たち。わずか10分の練習で、地球人なら数年かかるレベルに達し、上級コースを颯爽と滑り降りる姿は、まるでプロフェッショナルそのものだった。


ジラーとエルザはスキーで誰が一番速いか競争し、負けたジラーが「スキー板が悪かったんだ!」と言い訳して一同を笑わせた。




犬ぞりでは、白銀の世界を疾走する爽快感を満喫。犬たちとの触れ合いも心温まる体験だった。スノーモービルではパウダースノーを巻き上げながら、ニセコの広大な雪原を駆け抜け、その速度と迫力に歓声が上がった。




ナノマシンによる強化で彼らの運動能力は地球人の十倍以上。どんな新しいアクティビティも短時間で習得してしまう彼らだが、そこに驕りはない。ただ純粋に、この地球の自然と文化を楽しむ心があった。




松倉川水系の清らかな超軟水と、北海道の大地が育んだ酒造米から生まれる絶品の日本酒たち。シンが選んだのは「五稜」、その芳醇で洋梨を思わせるフルーティーな香りに心を奪われる一杯。そして「国士無双」、その穏やかな飲み口は、どれだけ飲んでも飽きない魅力がある。最後に味わったのは「吉翔」。果実を思わせる華やかな香りが鼻をくすぐり、口に含めば爽やかな余韻が広がる珠玉の一本。


「くぅ~、やっぱり日本酒は最高だぜ!」シンが声を上げる。


エマも一口味わい、目を輝かせながら微笑む。「まるでワインみたいね。美味しいわ。」




日本酒の深い味わいと洗練された香りに酔いしれる彼ら。異星の技術を持つエリシオンのクルーでさえ、この地球が誇る伝統的な酒造りの奥深さには感動を隠せない。優雅に注がれた酒杯が輝く夜、彼らは日本の文化の一部を心から堪能していた。




北海道の名物グルメがぎっしり詰まった選択肢を前に、シンたちは一瞬思案するが、まだ旅は始まったばかり。ニセコ初日の夜、彼らはその豊かな料理の数々をどう楽しむか話し合いながら、笑顔でテーブルを囲む。




海鮮の宝庫


海鮮丼 - 新鮮なウニ、イクラ、カニ、ホタテがたっぷり乗った海鮮丼は、目でも舌でも楽しめる。


寿司 - 地元の魚を使った極上の握り寿司。特に旬のネタは絶品。


カニ料理 - 毛ガニの炊き込みご飯やカニすき鍋が絶対に外せない一品。




北海道のご当地グルメ


ジンギスカン - 特製のたれで味わう羊肉は、ニセコの大自然にぴったりの風味。


ザンギ - サクサクの唐揚げはビールとの相性が抜群。


スープカレー - スパイスの香り豊かで、好みに合わせた辛さで楽しむ一皿。


エスカロップ - 道南地方の名物、ケチャップライスとトンカツの絶妙な組み合わせ。


豚丼 - 十勝地方の代表格、甘辛いたれが絡んだ豚肉はご飯が止まらない。




北海道ラーメン


味噌ラーメン - 濃厚でコク深い味噌スープが体を芯から温める。


塩ラーメン - 透き通ったスープは、素材の味を存分に引き立てる。


しょう油ラーメン - 昔ながらの味を再現したほっとする一杯。


カレーラーメン - スパイシーなカレーとラーメンの新しい味覚。




北海道のスイーツ


メロン - 北海道の甘い香りがするジューシーな果肉。


ソフトクリーム - 牛乳の旨みが凝縮された濃厚な味わい。


チーズケーキ - 濃厚で口溶けの良い逸品。




「どれもこれも美味しそうだな。」とシンが目を輝かせる。


「焦る必要はないわ。一日目なんだから、ゆっくり選んでいきましょう。」とエマが微笑む。


「全部、食べる!」とミリアが勢いよく声を上げる。




彼らはゆったりとした時間を楽しむ準備を整え、グルメの旅を思い描きながら乾杯のグラスを掲げた。




初めての温泉体験に、シンたちの期待と疑問が入り混じる中、彼らは北海道の温泉へ足を運ぶ。日本文化の象徴ともいえる「温泉」の魅力に触れる機会だ。


インストールした知識で、温泉のマナーは把握しているシンたち。しかし、湯船に浸かる習慣がない彼らにとっては、未知の世界。「そんなにいいものなのか?」と半信半疑のまま、まずは試しに足を踏み入れる。


温泉の効能、特に「美肌効果」という言葉を聞いた瞬間、女性陣は湯船へ一直線。エルザやミリアはその効果に目を輝かせながら、温泉に浸かり至福の表情を浮かべる。


「これでさらに艶が増すわね…!」とエルザが微笑み、


「ここに住みたくなっちゃう!」とミリアが歓声を上げる。




一方、初めはどこか戸惑いを見せていたシンも、湯に浸かると「あ゛~~…ふう」と思わず声を漏らし、気持ちよさに身を委ねた。「こりゃあ納得だわ…最高じゃねぇか温泉!」と、早くも温泉の虜になった様子だ。


温泉に浸かった後、彼らの肌はしっとりとし、身体の芯から温まる感覚に包まれる。特に女性陣の満足度は高く、「毎日入りたい」と口々に言い合うほど。シンもその魅力を感じ取り、温泉文化に対する理解を深めた。




温泉の魅力にどっぷりハマったシンたち。「これが日本文化の粋ってやつか」と、感慨深げに湯上がりの一杯を楽しみながら、心から癒されるひと時を満喫したのだった。


ミリアは湯上がりの牛乳を手に「これが最高ね!」と満面の笑み。




温泉体験の虜となったシンが、艦内のリラクゼーション設備を見直すための一言を放った。


「【エリシオン】艦内に温泉施設作れねえか?」


この一言に、クルーたちは一斉に顔を上げた。シンの提案に対し、女性陣は目を輝かせる。


リーイエ: 「絶対に作るべき!温泉は最高の癒しだもの!」


エルザ: 「あったらもう毎日入りたいわ。美肌効果はもちろん、疲れも取れるし!」


ジラー: 「こんなに素晴らしい文化を取り入れないなんて、もったいなすぎる!」


ヤシャスィーン: 「あると~嬉しいわ~!お酒片手に露天風呂なんて最高じゃない?」


全員の賛成意見が飛び交い、シンの提案は満場一致で可決された。




天然温泉の成分を再現するため、ナノマシン技術や地球で採取した温泉の成分分析データが活用されることに。


室内だけでなく、星空を眺められる露天風呂スペースも設ける予定。


「完成したらまた全員でニセコに行って、温泉の研究も兼ねて楽しもうぜ!」と、シンが提案すると、クルーたちは大いに盛り上がった。




あっという間に4泊5日の旅行も終わり【エリシオン】に帰って来た。


深夜、艦内の静寂が包む中、シンは一人で晩酌をしていた。グラスに注がれた琥珀色の酒を眺めながら、ふと遠い記憶に思いを馳せる。




「オヤジ(先代の頭)俺は最高の仲間たちとよろしくやってるぜ…」


酒を一口含み、そのまま目を閉じる。


「そっちはどうなんだ?…フ、聞くまでもねえか。」


遠い昔の面影が浮かび、そして消えていく。シンの表情には、一瞬だけ寂しさがよぎるが、すぐに笑みが戻る。




「何の因果か知らねえが、訳のわからねえ惑星にやってきてよ…」


グラスを傾け、酒を飲み干す。目の前には、次々に思い出される仲間たちの笑顔。


「今、滅茶苦茶、楽しいぜ。」


テーブルにグラスを置きながら、独り言のように呟くシン。その言葉には、これまでの苦難を乗り越え、現在を楽しむ彼らしい強さが込められていた。




外の宇宙の闇は深いが、シンの胸の中には、消えることのない明るい灯がともっているようだった。

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