第7話 水の竜
少し時は遡る。
肩に
「
玄斗によって
既に
その制限が無くなる。
相手は魔力ではなく呪力なのだが。
「フリーセン、飛んで!」
ドイツ語で"流れる"を意味する
背中に私を乗せたフリーセンが飛び上がると、
「
水の刃が
フリーセンはそれを躱して相手の顔を殴る。
「
さらに水の刃が複数命中する。
フリーセンの周りに水の玉が発生する。
私が覚醒するきっかけとなった
水の玉が
追尾する小さな水の玉が生まれては飛んでいく。
それを繰り返し、私も
そして5分ほど続けると
飛べなくなった相手を追撃する。
やがて魔力が尽きて
「あれ、もう終わった?」
降り立つと、翔子が声をかけてきた。
「終わったよ」
それにしても、先ほどの
魔物なんて外見は殆ど変わらないが、何かひっかかる。
そういえばフリーセンは殆ど攻撃を受けていない。
一方的な戦いだったが…
約一ヶ月前襲ってきた
その子供であるフリーセン。
竜族の死体から変化する
竜族の歯から生まれる
そういうことか。
仮説だが、十分あり得る。
もし、一ヶ月前の麗奈が覚醒するきっかけとなったあの
フリーセンが攻撃されなかったのは実の息子だったからかもしれない。
「全員で玄斗様を助けに行きましょう」
イブキが声をかける。
ズドンと大きな音がする。
音がした方向に目をやると、砂埃が舞っていた。
そしてその中から玄斗とスカルが現れた。
「
黄色い斬撃は淡く光り、三日月のようだった。
「
一方黒い斬撃はおぞましく、死を感じさせた。
二つの斬撃が打ち消し合う。
二人が共に肉薄する。
「
「
純白の大剣と炎を纏った黄色く輝く刀がぶつかる。
「
「
鍔迫り合いを続けながら魔法を発動する。
二人の力が拮抗している。
二人が飛び退き、再度肉薄する。
二人が激しい剣戟を繰り広げる。
周囲は魔法が飛び交っている。
攻撃の密度が高く、援護ができない。
「
横腹を掠り、出血する。
「
刀が徐々に見えにくくなり、最終的に刀身が消えた。
(刀身が消えた。炎も消している。間合いはだいたい把握していますが厄介ですね)
と、スカルは思っていた。
間合いが分かっていても刀身が見えないため、手の動きに注意しなければならない。
頬に赤い線が入る。
「少し掠りましたか」
猛攻は続く。
魔力を生成するときに黄色く発光する。
そして月光にも3つの派生能力がある。
刀身が見えないと、間合いを見誤って攻撃を受けやすくなる。
スカルはだいたいの間合いを把握していた。
だが、それは完璧ではない。
スカルに掠り傷が増えていく。
まあ魔物であるため傷はすぐに塞がるのだが。
(このままではジリ貧ですね…)
とスカルは思っていた。
傷を塞ぐには魔力を消費する必要がある。
傷を塞がなければそこから魔力が漏れ出す。
このまま傷を受け続けるのは危険だ。
別の刻限魔法ならよかったかもしれない。
刻限魔法
しかし効果の対象は細胞に限られる。
その制限があるからこそ代償が長時間使用で死んでしまうという他と比べると軽いものになっているのだが。
「
手が近づいてくる。
当然躱す。
靄が伸ばした手を伝って俺に襲いかかる。
「
すんでのところで防ぐ。
すぐに大剣が振るわれる。
避けきれず左腕を斬られる。
深くはない傷だがかすり傷といえるほど浅くもない。
血が滴る。
これまでずっと纏っていた靄が動かせることを隠していた。
そしてそれすらも囮にして左腕を潰しにきた。
実際俺の左腕は動かせるが、刀は負担がかかりすぎるため左手で刀を振るえなくなっていた。
やはりこのまま時間をかけて確実に削っていくのは危険かもしれない。
だから、現状の最高火力で一気に片をつける。
一度距離をとる。
そして、
「
「
互いの最高火力がぶつかり合う。
即死の効果が付与された魔力を一点に集中させた純白の大剣。
不死鳥の炎を纏い、生成した魔力全てを消費して黄色く輝く妖刀。
2つの剣がぶつかり…
純白の大剣が弾き飛ばされた。
そのまま袈裟斬りでスカルに止めを刺す。
スカルがその場に倒れる。
「負けて…しまいましたか…」
純白の大剣は折れずに残っていた。
「負けるなら道連れの刻限魔法を使うべきでしたかねぇ…
そう言い残してスカルは消滅した。
「終わっ…」
「お前、黒魔術師だな?」
そこには、金髪の男子と背の低い男子がいた。
同い年くらいだろうか。
「もう本局には連絡しました。あと数分で他の魔術師も到着しますよ」
「大地、この状況をどう説明するんだ?」
どうやら大地の知り合いらしい。
魔術師協会に所属しているのだろう。
今から戦うか?
自分の魔力はスカルとの戦いで消耗した。
戦闘は現実的ではない。
「
「させるかよ、
「
魔法陣が完成して起動する。
俺はその場から消えた。
金髪の少年は魔法陣を作るとき、いくつか方法があるが、どれも一撃与えるのには十分な時間がかかることを知っていた。
しかし、魔法陣を魔導書に保存できることを知らなかった。
そしてその行き先は…
「着いた、大阪」
大阪だった。
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