バランタインは、ブレンデッドウイスキーのことだが、飲み方を尋ねる必要がある。

 ストレート、ロック、水割り、ソーダ割り、湯割り。

 ウイスキーなら、ざっとこのくらいバリエーションがある。

 これは個人の好みなのだが、それを訊くとやはり「決まっとるだろう?」と返ってきた。

 気疲れしてくる。


「すみません、念のため確認させてください。水割りでよろしいですか」

「あったり前だのクラッシャーよ」

(クラッカーなのにな)


 決めつけてくるわりに、言葉をしっかり間違えて使っている。

 彼の頭の中はどうなっているのだろう。

 僕はこみ上げてくる笑いに堪えながら、手許でバースプーンを回した。

 まもなくコースターを彼の正面に敷くと、出来上がった水割りを置いた。

 彼は一口含むと、破顔一笑した。

「やっぱり、これじゃな」


(はあ……疲れる)


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