…
上機嫌になった彼が言った。
「つまみが欲しいな」
「煎餅はないですよ」
「冗談きついのう。そんなもん酒に合わせるやつなんかいるかよう?」
「いたんですよ、さっき」
せっかく美味しく酒の飲める大人になったのに、鹿もこのチンパンジーも、なんで自分が正しいと思い込んで、知らず知らず殻に閉じこもったりするんだろう?
僕は自分が自由であると分かってから、やっと生きていて楽しいと思えるようになったのに、さっきの鹿もこのチンパンジーも自ら動物園にある窮屈な檻の中へ入り込もうとしているかのようにさえ見える。
でも、それ自体が僕の決めつけかもしれないな。
自由であることに価値を置かない人は、決まっている方が楽に違いない。
「よっしゃ、また来るわ。今度はしっかり頼むぞい」
そう言ってチンパンジーは帰っていった。
時々不愉快そうにしていたわりに、また来る気らしい。
(変なの)
僕は、思わず肩をすくめた。
あにまるばー 悠真 @ST-ROCK
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あにまるばーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます