「すみません、勉強させてください。お客様のおっしゃるあれとは何でしょうか」

 チンパンジーは渋い顔をした。

「冗談きついのう。そんなもん、バランタイン12年に決まっとるわい」


(そんなもん、ぜったい分かるわけがない!)


 彼の言っていることが、あまりにもおかしいので、つい笑ってしまう。

 ただ憮然としている彼の顔が目に入り、僕は気まずくて咳払いした。


「いや、ほんとですね。言われてみれば、これのことしかあり得ないですね」

「そら、そうよ」

 チンパンジーは、呆れたように肩をすくめた。

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