【新潟県 S市 X湖】浜松佳奈子の体験
《メール送信者》浜松佳奈子
《発見日時》2024年8月14日
こんにちは。初見で初めてメールを送らせていただきます。
私もその張り紙を見たことがあり、それだけではなく不思議な体験もしました。
この日は大学の友人3人と共にキャンプに行っていました。大きな湖が見渡せる場所で、この時期はピークなのか、日中はワカサギ釣りに来られている方が沢山いらっしゃいました。
日も沈み人が減ってきた頃、友人の一人(仮にK君とします)が肝試ししようと言い始めました。私は怖がりで、そういうものは苦手だったので最初は断ったのですが、どうやらK君はその湖の中から沢山の真っ白な人の手が出てくるという噂を掲示板か何かで見たようで、他の2人も興味津々でした。
結局、私一人取り残されるのも嫌だったので渋々付いて行くことにしたんです。
湖の周りを各々懐中電灯を持ちながら歩いていました。柵の向こうにあるはずの湖は照らしても真っ暗で何も見えず、まるでその場所に巨大な穴が開いているような奇妙な感覚になりました。
その看板を最初に見つけたのは、肝試しをしようと言い出したK君でした。日中来た時は気が付かなかったのですが、柵の手前に木でできたような簡素な看板が立っており、『引き込まれないようご注意ください』と黒字で書かれた紙が貼り付けられていました。
その周辺を調べていた別の友達(T子ちゃんとします)が突然悲鳴をあげ、みんなが一斉にT子ちゃんの元に駆け寄りました。T子ちゃんは柵の手前で尻餅を付き、左足が柵の向こうへ飛び出していました。
T子ちゃんは泣きながら「誰かに掴まれてるの!」と叫び、足を掴んで引っ張ろうとしましたが、強い力で引っ張り返されているような感触がありました。その時、自分の隣にいた友達が持っていた懐中電灯の明かりに照らされて、白い腕のようなものがK子ちゃんの足の方に向かって伸びているのを見てしまったんです。
その光に驚いたのかその瞬間に腕が離れ、走りながらテントがある場所に逃げました。
翌日、明るくなって私とK君でその看板がある場所に再度向かおうとしたのですが、どれほど探してもその看板を見つけられず、諦めて帰ってきました。
T子ちゃんはあれから体調に異変はなく、いつも通りでしたが、掴まれた部分にしばらく痣が残っていました。
あの経験をしてから、心霊スポットに行くとよく言われる「夜になると空気が一変する」という感覚、強ち嘘じゃないような気がしてきました。あの時は、どちらかと言えば空気というより、次元、空間が変わったような感覚でした。
あの出来事があってから、K君はもうキャンプに行っても肝試しをしないと心に決めたそうです。
長文のメール失礼しました。
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