第4話「親友の告白」
「さくらちゃん、大変なの!」
昼休憩、社員食堂で同期の吉岡美咲が駆け込んできた。広報部に配属された彼女は、入社以来のさくらの親友だ。
「どうしたの、美咲ちゃん?」
「あのね...」
美咲は周りを見回してから、小声で続けた。
「営業二課の田中さんに告白されちゃった...」
「え!?」
思わず声が大きくなり、さくらは慌てて口を押さえた。
「それで、どうするの?」
「それが...好きになりかけてるの」
美咲は真っ赤な顔で俯く。
「でも、社内恋愛だし...」
さくらは考え込んだ。確かに社内恋愛には気を使う。けれど、美咲の表情は今まで見たことがないくらい生き生きとしている。
「私は...応援したいな」
「えっ?」
「だって、美咲ちゃんが幸せそうだもん」
その言葉に、美咲の目が潤んだ。
「でも、周りの目が...」
「きっと大丈夫!」
さくらは力強く言った。
「好きな人と一緒に頑張れるなんて、素敵なことじゃない?」
「さくらちゃん...」
その時、松田課長が食堂に入ってきた。さくらは思わず声が途切れ、視線を追ってしまう。
「あれ?」
美咲が不思議そうな顔をする。
「さくらちゃん、もしかして...」
「ち、違うよ!」
慌てて否定するさくらの頬が、かすかに赤くなっていた。
「課長は...ただの上司だから」
「へぇ...」
美咲の表情が妙に意味深になる。
「そうだ、今度の深夜開発に付き合ってよ」
「え?」
「さくらちゃんの噂、聞いたよ。深夜の社員食堂で新商品開発してるって」
「あ...うん」
「私も見学させて!それに...」
美咲はにやりと笑った。
「色々と観察してみたいし」
「もう、変なこと考えないでよ!」
慌てて制止するさくらだったが、胸の奥で何かが騒ぐのを感じていた。
深夜の社員食堂で、課長と二人きり——。
そんな状況を意識したことはなかったはずなのに。
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『深夜0時の商品開発部』〜残業中に始まる、おいしい恋〜 ソコニ @mi33x
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