8.遥香の祖母の真実

 後日、祖母の残した遺品を整理している中で、ある手紙を見つけた。

それは微妙に震えた手で書かれたような筆跡で、祖母の最後の告白文だった。


【和江は助かったけれど— ― 多くの犠牲になった友があの屋敷でさまよっている。

二人で一生背負っていかなければならないあの忌々しい出来事。

私と主人のような思いをもう誰にもさせたくない。どうか・・・屋敷には近づかないで― ―】


 遥香は手紙を読み終え、そっと涙を拭う。


「おばあちゃん・・・恐ろしかったんだよね。でもずっとおじいちゃんがそばで守ってくれていた。

逃げて生きていてくれてありがとう。おじいちゃん・・・おばあちゃんを守ってくれてありがとう」

 

 あの屋敷のバラの花が咲く庭で、寄り添って写るセピア色の写真を抱きしめながら遥香は何の罪もなく犠牲となった若きメイドたちの魂を慰めたいと強く思った。



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