3. 天才の登場
遥香たちが、「消えない赤いシミ」についての調査に乗り出そうと話しあっていると、遥香と同じゼミをとっている、
悠一は数学オリンピックで世界大会に出場経験がある天才といわれる部類の学生である。
大学の教授からも信頼されており、ゆくゆくは大学院に残り数学に関する研究をするのだろうと遥香は勝手に思っていた。
頭が切れる上にスタイルも良く爽やかで、気さくな人柄となればモテないはずはない。
遥香がちらっと彼の方に視線を向けた時、ばっちり目があってしまった。
(わわわわわわっ・・・・こっち見てるし・・・・)
ドキドキしながらもにっこり笑って手を振っている自分に・・・「ばかっ!」と思わずツッコミをいれたくなる。
こともあろうに悠一は、ニコニコと軽い足取りで教室の中に入ってきた。
(ひぇぇぇ~入ってきた・・・・)遥香の心のつぶやきが止まらない。
その様子を美羽と大樹は不思議そうに、二人の顔を代わる代わる見ていた。
「同席させてもらっていいかな?」
興味深々な様子で教室に入ってきた後、遥香の横に椅子を運んできて、まるで自分もオカルト研究会の一員みたいな態度で口をはさんできた。
(うぜ-やつ!!)
遥香はそう思いながらも、なぜか心がざわつくのを感じていた。
悠一は遥香の方にギュッと寄り、屋敷の写真や資料をまじまじと見ながら指をポキポキ鳴らしている。
自分の肩と悠一の肘の触れている部分がやけに熱く感じ、心拍数が上昇していくのを誰にも悟られないようにするのが精いっぱいの遥香だった。
「そのシミ、本当に単なる心霊現象なのか調べて見たくなったな。科学的に説明できる現象も多いしね」
遥香は驚いた。悠一は何の根拠もないオカルトには全く興味を示さないタイプだと思っていたからだ。
「じゃあ、一緒に行ってみる?」
美羽が冗談半分で軽く誘いの言葉をかけると、悠一は最初から行く気満々な様子で、サムズアップポーズをしながら得意げに一言。
「もちろん。不可解な現象ほど解き甲斐があるんだよな」
こうして悠一も調査に加わることになった。
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