第3話 才能者に挑む意思と初のパーティ戦略

 翌朝、ワシは昨日よりさらに早起きして軽いトレーニングを追加する。10分程度のランニングとスクワット数十回。14歳ボディは全然余裕だ。50年生きたオッサンの経験値をフルに活かせば、そりゃ成長スピードも段違い。まだランク測定は受けてないが、短期間でY上位くらいには行けるかもしれない。


 教室に入ると、ガルスが腕を組んで待ち構えていた。「おいバル、最近お前が噂になってるな。急に勉強熱心で、魔力も扱え、剣術も安定してきたとか。何企んでるんだ?」

 ワシは鼻で笑う。「企んでるってほどじゃないさ。二度目の人生みたいなもんだから、やれるだけやってみる気になったんだ。最短ルートで上に行く、それだけ。」

 ガルスは呆れ顔。「わけわかんねえこと言うな。まあいい、実習でどれほどのもんか見てやるよ。」


 ガルス、リール、この二人はエリート候補で、実習でもトップ級の成果を出すだろう。前世でワシは彼らに遠く及ばなかった。だが今回は違う。ワシは凡人を率いて同等かそれ以上の結果を目指す。そのための策を練ってるんだからな。


 ホームルームでアマル先生が「来週、2年生は森での実地訓練を行います。パーティを組んで小型ワイバーンを討伐し、成果を評価します。参加メンバーを4~5人で組んでおきなさい」と伝える。クラス中がざわめく。これだ、これが勝負所。


 才能者は目立つ連中同士で組みたがるだろう。ワシは敢えてそこには加わらない。昼休み、マイロや他の平凡な生徒に声をかける。どちらかというと気弱で、あまり目立たない奴を集めるのがミソだ。


 「おいマイロ、お前実習どうする? まだパーティ決まってないならワシと組まないか?」

 マイロは目を丸くする。「え、バル、お前なんか頼もしそうだし、いいぜ。でも正直、ワイバーンとか不安だぞ。」

 「大丈夫だ。ワシが魔物の弱点を把握してる。作戦をきっちり組んでやるからビビるな。」

 「お前が作戦? すげえな…」


 他にも、以前ワシがアドバイスしたナーナや、足が速いけど魔物戦闘には自信がないジェドといった連中を勧誘する。彼らは自分たちの弱さを自覚しているから、戦術的に導いてくれる存在がいれば心強いと思うだろう。


 「よし、これで4人か5人は集まったな。お前ら、普通なら才能者チームには敵わないって思うだろ? だが策を練れば逆転できる。ワシは知識があるから、ちゃんと勝ちパターンを作る。信じろ。」

 マイロたちは半信半疑だが、ワシがここ数日で見せた成長と知識量を見ているからか、一応「バルに任せてみるか…」という雰囲気になっている。


 放課後、中庭でパーティメンバーを集めてミーティングだ。ワイバーンの弱点や行動パターンを説明すると、全員驚いてる。「そんな詳しいこと、どこで知ったの?」と問われるが、ここは適当に「図書室で調べた」とでも誤魔化す。


 「ワイバーンは音に敏感で足元が弱い。囮役が鈴で注意を引いて、その間に速い奴が脚部を狙う。魔力使いは目眩ましの簡易魔法でサポート。ワシが最後にトドメを刺す。こうすれば才能の差なんか関係ない。練習しておけば確実に成功するさ。」


 メンバーはおっかなびっくりだが、ワシが地面に簡易地図を描いて手順を示すと、「なるほど、イケるかも…」と希望が湧いてくる。こうしてワシは弱者側の指揮官として存在感を示す。作戦が成功すれば、ワシらが一番乗りで討伐完了も夢じゃない。


 帰りがけ、リールが遠目にこっちを見て笑ってる。「バルが何やら下積み組と談合してるけど、面白いこと企んでるのかしら。」

 いいさ、笑えリール。そのうちあんたも驚くことになる。


 寮に戻り、ワシはノートを見返して微調整。魔物が狂暴化した場合の対策も考えておく。抜かりはない。人情味あるリーダーとして、みんなを導けば、これまで日の目を見なかった弱者たちにも成功体験を与えられる。これはワシにとってもデカいことだ。前世で培った知識が、ただの独りよがりじゃなく誰かの役にも立つ。悪くない気分だ。


 夜、布団に入りながら考える。今回の実習で好結果を残せば、ワシの評価は一気に上がるだろう。才能者にはまだ足元にも及ばないが、ここからがスタートだ。Nランク突破、MやLへと駆け上がっていく。二度目の青春、やり直し人生ってのは最高に燃える展開じゃないか。


 「やってやる。ワシの底力、存分に発揮して、あいつらを驚かせてやる。」


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