第6話 魔物
小屋には、探索者が住んでいた痕跡があり、地図や書物が残されていた。
「さて、何から取り掛かろうか?」俺は島の探索をすることにした。
「思ったよりも広いな」
まあ、時間は腐るほどある。だからこそ、剣の鍛錬と、暇に任せての訳のわからん本の読書も欠かさなかった。
週に一度来ては、一泊して帰る老人に「指導を頼む」と頭を下げて武術を習い、俺
の腕はめきめき上達していた。
厳しい長い冬には一歩も動けず、時には執行人も来られなかったが、なんとか生き延びて春を迎えた。
「逃げ出さんかったな」
「なんの事は無い」
たった半年だが、精悍な大人になったと自分でも思う。体が一回り大きくなった。
「痩せ我慢がすぎるな。だが、これからの季節の方が危険だ。魔物達が動き出す。近くの街にしばらく住むか?」
「ここでいい。いや、ここがいい」
彼の言った通り、多種多様の魔物が襲ってきた。
雪狼の群れとの死闘は、たまたま老人が居合わせたので、なんとかなった。
「言ったろう」
「ははは」俺は笑うしかなかった。
氷魔熊に襲われた時は、夜まで闘い続けた。厚い毛皮と脂肪の防御力に剣が通らず、背を見せられなかった。
夜になり、眠くなったのか諦めて帰ってくれた。
「確かに、ここで生きていくのは力不足だ。困ったな」
俺はいつものように訳のわからない書物を漁っていると、巧妙に隠された場所に、この島の詳細な地図と魔導書を発見した。
「これが……魔法か」
俺は魔導書を読んでみたが、発動方法が書いていなかった。
ここに住んでいたのは、上級魔術師の探索者のようだ。
「ティオスじいさんに聞こう」
疲れ果てた体が睡眠を欲していた。俺はそのまま眠りに落ちた。
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