第4話「初めての実戦」



第三訓練場に漆黒のヴォイドが出現した瞬間、二機の機神が発進した。白銀の閃機神ライトニングと、漆黒の暗機神シャドウブレイク。


「素人が出る幕ではない。下がれ」

レイの冷たい声が通信機に響く。


「でも、このまま見てるわけには……!」


言葉が終わる前、ヴォイドが触手を伸ばして襲いかかってきた。陽斗は反射的に機体を傾け、辛うじて回避。


「体の動きが、機体に……直接伝わる?」


「陽斗!」整備室から美咲の声。「量子共鳴は、パイロットの意識と機体を同期させるシステム。考えるより前に、感じるの!」


その瞬間、レイの暗機神が閃光とともにヴォイドの背後に回り込み、影刃で触手を両断。しかし切断面から黒い霧が噴出し、新たな触手が再生される。


「これが、Dランク……!」


「なぜ分からない」レイが憤りを含んだ声を上げる。「戦場に迷いは不要だ。決断と実行のみが——」


その時、陽斗の目に異変が映った。ヴォイドの中心部が、かすかに脈動している。


「あそこが、弱点?」


直感的に、陽斗は量子共鳴腕輪に意識を集中させた。すると、閃機神の両腕から雷撃が放射される。


「!?」


予想外の攻撃にレイも驚いた顔をする。雷撃はヴォイドの中心を貫き、漆黒の巨体が輝きの中に溶けていく。


「やった……!」


戦闘後、レイは無言で陽斗を見つめていた。


「お前の戦い方は無謀だ。だが……」

わずかな間を置いて、

「次は、この程度では済まないぞ」


それは、警告でありながら、どこか期待を含んだ言葉にも聞こえた。


整備室で美咲が笑顔で迎える。

「素晴らしかったよ!でも、まだ始まりに過ぎないわね」


陽斗は閃機神を見上げながら、静かに頷いた。

これが、量子共鳴戦士としての第一歩。そして、新たな謎の始まりでもあった。

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