第2話「運命の選択」
研究所の地下格納庫で、陽斗は白銀の巨体を見上げていた。
「共鳴率84%……。前代未聞のスコアです」
九条玲子の声には興奮が滲んでいた。初めての戦闘から一夜が明け、データ解析の結果が出ていた。
「通常、量子共鳴は20%が限界。それを大きく超える数値。貴方のこの才能、これは間違いなく相馬博士の血を引いているからでしょう」
父の名前に、陽斗は複雑な表情を浮かべる。憧れと、疑問と、微かな怒り。なぜ、あの日突然姿を消したのか。
「九条さん、この腕輪のことを教えてください。父は何のために……」
「残念ながら、私にも詳しいことは分かりません」九条は溜息をつく。「ただ、これだけは確かです。ヴォイドの脅威から人類を守れるのは、量子共鳴機を操れるパイロットだけ。そして今、その適性を持つ若者は世界中で10人もいません」
モニターには昨日の戦闘映像が流れていた。漆黒の敵に立ち向かう白銀の巨神。それは確かに、美しくも畏怖すべき光景だった。
「相馬陽斗君」
厳かな声に振り向くと、そこには初老の男性が立っていた。グレイ副所長である。
「我々は正式に提案させていただきたい。量子共鳴戦士として、人類を守る戦いに身を投じてはもらえませんか」
重い言葉が、格納庫に響く。
陽斗は閃機神ライトニングを見上げ、そして父の残した腕輪を見つめた。この選択が、自分の人生を大きく変えることは明白だった。
(父さんは何を選ぶんだろう……いや)
「僕の答えは……」
陽斗は固く握り締めた拳を上げる。
「僕は、僕の意志で戦います」
その瞬間、閃機神の眼が青く輝いた。まるで、パイロットの決意に応えるように。
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