『機神共鳴』

ソコニ

第1話「目覚める共鳴」



警報が鳴り響く研究所の一室で、相馬陽斗は青白い光を放つモニターを凝視していた。画面には複雑な量子波形が踊っている。


「これが、父さんの残したデータ……」


3年前、天才物理学者として名を馳せた父・相馬剛は、この量子共鳴研究所から突如として姿を消した。残されたのは、膨大な研究データと、一つの腕輪だけ。


「相馬君、もういい時間だよ」


九条玲子主任研究員の声に、陽斗は我に返った。放課後、特別許可で父の研究データを調べることが日課となっていた。


「はい、九条さん。もう少しだけ……」


その時だった。モニターが激しく明滅し、警報が轟き始める。


「ヴォイド反応!?研究所の真上です!」


通信機から流れる慌ただしい声。窓の外を見上げると、漆黒の裂け目が夕暮れの空を引き裂いていた。


「避難を!」九条の声が響く。


だが、陽斗の目は父の残した腕輪に釘付けになっていた。腕輪が青く輝き、共鳴するように脈動している。


(この感覚、まるで呼びかけてくる……)


「待って、陽斗君!」


九条の制止の声も聞こえないほど、陽斗の意識は腕輪に吸い込まれていった。


「せ、責任は僕が取ります!」


陽斗は腕輪を掲げ、直感的に言葉を紡いだ。


「量子共鳴、リンク・スタート!」


まばゆい光が研究所を包み込む。陽斗の意識が広がり、巨大な存在と同調していく。


光が収束すると、そこには漆黒のヴォイドと対峙する白銀の巨神が立っていた。全高18.5メートル、閃機神ライトニングの初覚醒である。


「これが、父さんの……いや、僕の機神」


歓声と驚嘆の声が研究所から沸き起こる中、陽斗は初めての戦いに身を投じていった。運命の歯車が、今、大きく動き出す。

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