第6話

 あれからしばらく経った。


 義妹は顔を合わせるたび懇願するような目で見てくる。言わんとすることは分かる。


 夜。義妹が僕の部屋を訪ねてきた。珍しい。

開口一番、義妹は懇願してきた。

「にいさんごめんね。いなくならないで」

「ごめん。変えられないよ。これ以上は今の両親にお世話になりたくないんだ。それに……」

「それに……何?」一段と不安そうに尋ねてくる義妹。

君の為になんて、言えないよな。


「自分磨きだと思ってるんだ。あえて厳しい環境に身を置いてって……」

「嫌、嫌だ嫌だ嫌だ!どうしても行くっていうなら、私を殺して」

「なんでそうなる!?」

「決まってるじゃない。あなたを守る為よ」


僕を守る為?どういうこと?

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