第6話: データチップの真実

カイリを仲間に加えた翔は、廃棄されたデータセンターに戻り、ようやく一息ついた。だが、ザイム心理教の物資の中に見つけたデータチップが頭から離れなかった。


「このチップ……何が入ってるんだ?」


翔はルーメンに問いかける。ルーメンは翔の手からチップを受け取り、端末に接続して解析を開始した。


「解析には少々時間がかかりますが、データの中身を確認でき次第、お知らせします。」


「頼むよ……このチップがザイム心理教の奴らを追い詰める手がかりになればいいけどな。」


翔がつぶやいたその時、カイリが椅子に座りながら口を開いた。


「そのチップには期待してもいいだろう。ザイム心理教はただのカルトじゃない。あいつらの真の目的が暴けるかもしれない。」


翔はカイリに振り返った。


「真の目的って……何か知ってるのか?」


カイリは腕を組みながらため息をついた。


「ザイム心理教は、暗号通貨XLMをただの資金源として使ってるわけじゃない。あれにはもっと大きな意味がある。」


「大きな意味?」


翔が聞き返すと、カイリはわずかに眉をひそめた。


「XLMは、ただの通貨じゃない。あれを使えば、特定のネットワークやデータベースを直接操作できる仕組みが隠されてるらしい。」


「ネットワークを操作……?」


カイリの話に翔は戸惑った表情を浮かべた。その時、ルーメンが解析を終えたように振り返る。


「データの内容を確認しました。」


衝撃の内容


ルーメンはモニターにデータチップの内容を映し出した。そこには、ザイム心理教の計画に関する詳細な記録が残されていた。


「このデータには、ザイム心理教が進めている『ネオ・シンジケート統制プログラム』に関する情報が記されています。」


「統制プログラム?」


翔が眉をひそめると、ルーメンは説明を続けた。


「ザイム心理教は、暗号通貨XLMを利用して都市全体の金融システム、物流、さらには個人データまでを完全に支配する計画を進めています。」


翔はモニターに映る膨大なデータを見つめながら、背筋が冷たくなるのを感じた。


「都市全体を支配するって……それじゃ、俺たちは奴らの手のひらで踊らされるだけじゃないか!」


ルーメンは頷きながら続ける。


「さらに、この計画には『リバースネットワーク』というシステムが使用される予定です。これにより、都市全体のネットワークが一元化され、ザイム心理教の完全な管理下に置かれるでしょう。」


「……そんなの、絶対に許せない。」


翔の胸に怒りが込み上げてくる。


カイリは苦々しい表情を浮かべながら言った。


「これが奴らのやり口だ。XLMを手に入れるためなら、どんな汚い手でも使う。」


行動を起こす時


翔はデータを見つめながら拳を握りしめた。


「このデータを使って、奴らの計画を止められないのか?」


カイリは少し考え込んだ後、静かに口を開いた。


「計画を止めるには、奴らの中枢にアクセスする必要がある。それも、ただの拠点じゃなく、もっと重要な施設だ。」


「重要な施設って……具体的にはどこだよ?」


カイリは腕を組みながら言った。


「ネオ・シンジケート中央区にある『アークコンプレックス』。そこが奴らの指令中枢だ。」


翔は眉をひそめた。


「そんなところに、俺たちが入れるわけないだろ……。」


しかし、カイリは薄く笑みを浮かべた。


「無理だと決めつけるなよ。ここにいるAIの力を使えば、道は開ける。」


ルーメンが静かに頷いた。


「私はあなたたちをアークコンプレックスに導きます。ただし、準備が必要です。」


「準備って?」


翔が尋ねると、ルーメンは翔とカイリを見つめて答えた。


「まず、ザイム心理教の警備システムを分析し、侵入ルートを確保する必要があります。また、協力者を増やすことも重要です。」


新たな協力者の影


その時、データセンターの扉が静かにノックされた。翔とカイリは一瞬緊張し、ルーメンが警戒態勢に入る。


「誰だ?」


カイリが低い声で問いかけると、扉の向こうから若い女性の声が聞こえた。


「敵じゃない。協力したいだけだ。」


翔が恐る恐る扉を開けると、そこにはフードを深く被った少女が立っていた。鋭い目つきで翔たちを見つめ、静かに口を開く。


「私の名前はユナ。ザイム心理教に家族を奪われた者だ。」


彼女の声には怒りと悲しみが入り混じっていた。その瞳には、翔たちと同じようにザイム心理教に対する強い敵意が宿っている。


「……協力してくれるって、本気か?」


翔が確認すると、ユナは小さく頷いた。


「私には奴らの計画を少しだけ知る手がかりがある。それを教える代わりに、一緒に戦わせてほしい。」


翔は一瞬言葉に詰まったが、彼女の覚悟を感じ取り、手を差し出した。


「……分かった。これからよろしく頼む。」


ユナはその手を握り返し、わずかに微笑んだ。


革命の兆し


新たな仲間を得た翔たちは、ザイム心理教を追い詰めるために動き出す。だが、彼らの計画を阻止するためには、さらなる犠牲と覚悟が求められる。


翔は自分の心に問いかける――この道を進む覚悟は本当にできているのか、と。


次回、第7話「協力者の条件」。ユナが持ち込んだ情報を元に、新たな作戦が動き出す。


データチップの中身を明らかにし、翔たちの敵であるザイム心理教の目的を提示するとともに、新たな仲間ユナとの出会いを描きました。次回は、翔たちが本格的な作戦準備に取り掛かる展開に進めます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る