第2話 贖罪

澄み渡る朝焼けの空はあまりにも綺麗で、わたしには眩しすぎる。





東奈大学附属病院のECU(救命救急センター)に明るい声が響く。



「大塚先生とは絶対にシフトを一緒にしないでくださいってお願いしたのに!」



そんなことを看護師長に向かって、みんなの前で言う看護師の言葉を、ひっそりと聞いていた。



「大塚先生のガタイが良すぎて、狭い機内が更に狭いんですっ。先生、痩せてください」


「そりゃないよー、若槻さん」



どうやら看護師長のすぐ横に、当の本人の大塚先生もいたらしい。



「大塚先生と一緒だと、なんだかヘリのスピードもいつもより出てない気がします」


「ひどいなぁ。僕だって気を使って足をぐーっと端に押し当てて小さくなってるつもりなんだけどぉ」



壁に同化するように、隅っこに立ったままでいるわたしに、2年目の看護師の梶田さんが笑いながら話しかけてくれた。



「あれ、いつものルーティーンだから気にしないで。どうしてもね、機内が狭いから、みんな細い先生と組みたいのよねぇ。でも、大塚先生が優秀なのはみんな知ってるから、悪あがきみたいな?」


「そんなに狭いんですか?」


「ドクターヘリは狭い場所にも着陸できるように小型だから」


「そうなんですね」



フライトナースの若槻さんと医師の大塚先生が話していたのは、ドクターヘリに乗るペアの話だった。



テレビドラマの中では数人乗っていても余裕があるように見えたけど……




「現実」はいつだって何もかも違う。

テレビでは1話で終わるような出来事も、実際は何週間かかっても結論なんかでなくて、ワンシーズンが終わっても続いていくことばかり。

CMが終わったら次のシーンに変わってるみたいに、全部とばせてしまえたらいいのに。



周りが楽しそうな時は、いつも自身に問わずにはいられない。

わたしは、明るい場所にいていい存在なのか――

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