王家の伝説

かいとも

王家の伝説

<コンコンと窓を叩く音が聞こえた。

 窓を開けると、全身真っ黒で覆われている人が居た>


「おはようヤライ」

「おはようサナヤ。

呼んだって事は、先代の予定ですか?」

「そうだよ。

父さんと伯母さん大丈夫だって」

「分かった。

それじゃあ、始業式が終わったらサナヤの部屋に集合で」

「了解」

「なあヤライ」

「無理だぞ?」

「はあ、カナエがうるさいんだからな?」

「王子の護衛は他のにすればいいだろ?

それに俺は遠くから見守っている」

「分かった。

そう伝えとくよ」


<始業式が始まった時だった>


 動き出したか。

 人数は約47人。

 Sが7でAが40。

 S7か…本体か部下か。


<マエラング王国の王家と貴族が入れる学校で事件が起きるはずだった>


 はあ、王子達に手を出されると困る。

 父さんと約束したんでね。

 必ず幸せにすると。


「必ず幸せにする何て言ってるけど、なんで結婚しないわけ?」

「マエラング様、人の心を読むの辞めてください。

結婚は、歳の差+まだ18歳じゃないので、俺以外に好きな人出たらどうするんですか?」

「そろそろ諦めなさいよ。

それと、伝説の秘密は今日話すの?」

「はい、父さんのこの約束なんて守りません」


<始業式は無事に終わり、サナヤ、サナヤの父親、サナヤの伯母がサナヤの部屋に入ってきた>


<窓を叩く音が聞こえた>


「いらっしゃい、ヤライ」

「カミキ様、マイナ様、今回は来ていただきありがとうございます」

「ヤライ君大丈夫だよ。

気になるんだ、王家の伝説と言われてる伝説の秘密が」

「でも私は気になるわ、なんで私まで呼ばれたの?

王家の血を引いてるとはいえ、私が聞く必要はあるの?」

「マイナ様も必要です。

それでは行きましょう」

「え?ヤライここで話すんじゃないの?」

「ここでは話せないんです。

移動は安全です。

ワープで行きますので」


<そして4人はワープで移動した。

 ワープした先は、一軒家が建っていた>


「着いてきてください」


<一軒家の右の広場まで移動した。

 その移動した場所には、一基のお墓が立てられていた>


「なあヤライ、お墓に何か意味でもあるのか?」

「あるよ。

お願いします」


<そう発言した時、3人は酷い頭痛を引き起こした。

 その頭痛は、涙が出る程の頭痛。

 その頭痛は、伝説に必要な頭痛。

 その頭痛は、全てを思い出す頭痛。

 その頭痛は、欠けたピースをはめる為の頭痛。

 その頭痛で、全ての記憶を思い出した>


<1人の男は師との思い出を>


 なんで忘れていたんだろう…。

 戦い方を教えてくれた師匠だったのに…。

 勉強を教えてくれた教師だった…。

 何もかも教えてくれた師だったのに…。

 


<1人の男は親友との思い出を>


 なんで忘れていたんだ…。

 俺の右腕として居てくれたのに…。

 俺の親友だったのに…。

 なんで忘れてしまったんだろう…。


<1人の女は夫との思い出を>


 なんで忘れてたの…。

 あの人との大切な思い出を…。

 あの人との子供を…子供…。


<女は子供が居た事も思い出した。

 サナヤの方をみて涙を流しながら発言した>


「サナヤ…もしかして…」


<サナヤは自分の仮面を取り外した>


「ママ…久しぶり…」

「サナヤ…久しぶり…」


<2人は涙を流しながら抱き付いた。

 何十年も会えなかった親子。

 いや、子の記憶を忘れた母親が記憶を思い出し、やっと親子として出会ったのだ。

 そして数分後>


「サナヤ君1つ聞いてもいいかい?」

「なんですか?」

「なんで俺達は、カマルの事を忘れていたんだ。

そして、なんでここに来たら思い出したんだ」

「マエラング様との契約です」

「契約?」

「はい。

国への貢献が高かった事から、マエラング様が褒美をあげると伝えたんです」

「それが…記憶…」

「その通りです」

「でもなんで!」

「犯罪者である自分の事を忘れて欲しかったから」

「俺達はそんな事を気にしていない!

なんで…なんでそんな事を…。

恩を返すために俺に尽くしてくれたのか?

なら…俺の記憶にある笑顔はなんなんだよ!作り笑顔だったのか!」

「いえ、父さんのただのエゴです」

「エゴ?」

「はい。

父さんは幸せを感じた。

だけど叔父さんに会っていなければ、一生犯罪者のまんまだった。

だから心が痛んだんです。

自分がこんなに幸せの生活をしていいのかと。

だから契約で、自分の事を忘れさせたんです。

犯罪者であるカマルという存在を」

「そうだったのか…。

なら、なんでサナヤ君はカマルの事を覚えていたんだ?」

「全員の記憶を消す事を、マエラング様が許さなかったからです。

だから息子である自分だけが覚えていました」

「そうか…。

墓があるって事は、カマルは死んだのか?」

「病で亡くなりました」

「そうか…。

俺もカマルが居る場所に行ったら、何万発も殴らないとな」

「カミキ、私も殴るの手伝うわよ!」


<マエラングとカマルの契約は、サナヤとの契約で消滅した。

 ここに居る3人以外の、他の人達もカマルという存在を思い出した。

 だが、王家の伝説の秘密を知ったのは数人だけになった>

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王家の伝説 かいとも @kaitomo

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