死を望んだその先に

メル

第1話 絶望

私は10階建ての屋上から、下を見ている。

本当は高所恐怖症なので、怖いはずが、絶望で見えなくなった世界は、何も怖くないものだった。当たり前のようにフェンスを超え、一歩踏み出せばお空にいける場所まで来た。


そして、なぜ私は死を求めるようになったのか、少し思い出してみようと思う。


ずっと家族の言いなりだった。

習い事も、勉強も何もかも、好きな人とさえ縁を切られてしまった。さらには、私が働くことは当たり前のようになっていた。私には選ぶ権利など到底ない人生だった。そして、私がおかしくなったのは、借金だった。

誰かを救うためにはお金が必要だ。

それが家族ともなれば、当たり前に毎月のようにお金を入れないと行けない。入れても入れても足りない毎日。

頑張り続けた私の心と体は壊れてしまった。

自傷を毎日のようにしていた。自傷をしている人は死なないなんて嘘だ。

だって、自分に傷をつけれるって相当参ってるってことじゃないのかな。

それでも、自分の気持ちに嘘をつきながら、過ごして、我慢ばかりしてきたからだろう。

助けての3文字が私には言えなかった。


そして、決め手となった言葉は

私があなたの人生決めたみたいに言わないで。

私が悪いかのいいようだ。もうこれには笑いしか出てこなかった。

そこからはあまり覚えていない。

限界だった、どんな言葉でもダメただと思うけど、傷ついた心に刺さるには深かったようだ。



気づいたら、ここにいた。

死を迎えるこの場所に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死を望んだその先に メル @asuka1231

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る