そして

 私は敷かれたレールから外れることを強く望んだ。電車から自転車にフォルムチェンジしようとしたのである。自由ななろうとした。だから私は高3の進路相談で大きな声で芸術家になりたいと言った。今まで美術なんてやったこともなかったし、先生も「なんで突然?」って言ってきたし、親も「大学にはいけ」と言った。そこで私は口を開いてみた。

「私は芸術家になりたいわけではない。ただレールから外れたいだけだ」

先生は理解してなかったし、親には無視されるようになった。


 今、私は大きな紙に色をつけるようになった。そこそこ売れて、飯が食えるようになった。ただ、何かが欠落しているのだ。

まだ何かに怯えているのだ。それは自分のレールを敷く誰かであった。それは先生から親か、他人か。ただその人たちに流されるようにはなりたくない。

 嫌われても私は鮭になったままでいたい。

ある精神科医が私に真剣な顔ぽつりといった。「君といると自分が何者なのかわからなくなりそうだ。」


今、まだ白い画用紙を持っている君よ。

ここはもう私が汚してしまった。その白い翼が、羽が、私や第三者に汚され、灰色に腐ってしまう前に、自分が何者か。自由とは何かを一旦かんがえてみてくれ。

良いイメージで構わない。人生はその人がどう考えようが一定の方向に進むから。

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レール @nmp222

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