朱日(シュヒ)独白
扶良灰衣
読み切り散文雑文
わたしが知らないって、あなたは知っている。あなたが知ってるって、あたしは知っている。あなたが知らないって、わたしは知らない。あたしが知らないって、あたしが知っている、あなたを知ってるって、わたしは言わない。だからあなたもわたしを知ってるって、言わないで。知らないわたしを知らないって、知ってるなんて言わないで。わたしは知らない、知らないわたしもわたしは知らない。あなたは知っている?知らないわたしを知っている。わたしは知らないあなたを知っている。あなたはあなたを知っているの?わたしはあなたを知っている?わたしはあなたを知りたいの。あなたはわたしを知らないって、わたしを知ってるなんて言わないあなたでよかった。わたしを知らないあなたがいいの。わたしを知ってるなんて言わないあなた。あなたはわたしを知らないなんて言うあなたのそんなところがこんなにもいいなんて。ねぇわたしはあなたを知っているの。わずかばかりじゃないあなたが思うよりずっと。わたしはあなたとわたしのいまを知りたいの。ほらふたりはいまここにいる。雨がふたりをこの部屋にとどまらせている。あなたとわたしはいまを積み重ねている。なぜあなたはわたしを知ろうとしないの?あなたはわたしを知っているなんて言わないで。だってわたしはわたしを知らないの。
私の体の一部の名前、その名はわたしを表す象徴。だって花って性器なの…… そうでしょ。夢中になるわ。香りが立ち昇る、薫って(かおって)虜(とりこ)になるの。
あなたを後ろから抱きしめて包んで覆う。あなたを抱き寄せて青いうなじにキスをした。すっかり二人は午睡を過ごした。わたしはなだらかに目を覚ます時、あなたはわたしの鼠径部を剃毛してある股に顔を瘞めて(うずめて)、気持ちがいいとわたしにはあなたが必要だと分かるの
そこはあなたの安住の地
生涯をここで暮らすのよって
言いたかったけど
終の住処がわたしが
脚で挟んだままじゃね
あなたの頭はある
わたしの股座(またぐら)じゃ
あなたには酷よね
でももう少しそこにいて、わたしを悦ばせてよ
わたしはあなたを
欲しているから
その存在はあなたのそばにいて必要とされること
だって、この感情はあなたを
遠ざけることを拒むのだから
朱日(シュヒ)独白 扶良灰衣 @sancheaqueous
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