序章 第04話 | 逢条 陽 vs プロジェクト・カイカ

4月10日 08:35


「おはよう、柏木」


「おす、逢条!楽しかったな、昨日は」


そう言って、こちらを振り向く柏木。

3年C組の窓から、漏れる朝日。

うららかな春風が生み出す、カーテンの揺らぎ。


それは、いつもと何ら変わらない朝の風景。

ところが、今日に限っては、何かが異なるような気がする。


何が、どう異なるのかは明確に分からない。


しかし、漏れ落ちる光が、春風のそよめきが、カーテンのゆらめきが。

それらのすべてが、まるで昨日とは違う何かに動かされているような。

そんな奇妙な感覚が、頭から離れないのだ。


結月との破局が、その原因なのだろうか?

恋人の喪失が、世界の見え方を変えてしまったのだろうか?


いや、恐らくそうではない。


原因は、分かってる。

昨夜目にした、あの広告だ。


あれが、この世界のどこか深い領域に。

もしくは、自分の心の深層に。


何らかの形で、作用したのだ。


言うなれば、沼にポンと投げ込まれた、たった一つの石ころ。

その石ころが生み出した波紋が、何かの拍子で、沼の底にまで届いてしまったような。


「柏木・・・お前、柏木だよな?」


「え・・・俺が、は??」


「あ・・・いや、ゴメン。気にしないでくれ」


「何だよ、俺がメンズアイドルにでも見えたか?っておい、どこ行くんだよ?」


「・・・ちょっと、風浴びてくる。ベランダで」


背中全体に柏木の怪訝な視線を感じながら、誰もいないベランダへと歩みを進める。

すると、見慣れたコンクリートの庭が、異質な光のたまり場と化していた。


昨夜は雨だった。


しかし、その雨はいつしか上がり、朝になり、全く異なる波長の光が世界に降り注いだ。

その光が、この限定的空間に沈殿し、だまのようになって残留しているのだ。


「おい、逢条。お前、大丈夫か?」


すると、開け放たれたガラス扉から、柏木が姿を現した。


その顔には、出題範囲を熟知しているテストにおいて、いきなりアクロバティックな難題を提示されたような困惑が浮かんでいる。


突拍子もなく自分が誰か確認してきたりと、明らかに挙動不審な友人。

柏木にとっても、今朝はいつもと異なる朝に違いない。


「・・・何か、あったのか?」


結月との破局。

それを柏木に伝える前に、思わず口から飛び出たのは、昨夜知ったばかりのプロジェクトの名前だった。


「プロジェクト・カイカ。お前・・・知ってるか?」


「プロジェクト・カイカ?何だそれ、ゲームか?」


「いや、ゲームじゃない。人工知能の才能を開花させるっていうプロジェクト。昨日、そういう広告を見たんだよ」


「ふーん。俺ん家で遊んだ後にか?どこで見た?」


「ユースペース」


「・・・ユースペで何かの動画見たら、そのプロジェクトの広告が流れたって意味だよな?」


「そう。お前、そういう広告見たことあるか?」


「いや、無い。俺、広告なしのプランなんだよ」


「はあ・・・プロジェクト・カイカ、ドットユーユー」


「何だって?」


「プロジェクトのURL。プロジェクト・カイカ、ドットユーユー」


「ユーユーってことは、ユニ・ユニバース関連か。で、お前、それもうアクセスしたの?」


「・・・ああ。したけど」


「したけど?」


「したけど・・・お前にも見て欲しいんだよ。ちょっと、妙なことが書いてあってさ。お前の意見を聞きたくて」


「ほー、妙なこと?」


「うん・・・とにかくお前、アクセスしてくれない?なるべく、デカい画面で」


「デカい画面か。よし、いいだろう」


そう言って、ボサボサの眉をぐいと上げながら、細い前腕にサポーターのように巻き付けられたデバイスを外し、それを巻物みたいにくるくると両手で拡げる柏木。


「ウェアラブルのタブレットかよ・・・いよいよ改造人間みてえだな」


「そういう時代なんだって。受け容れろ。人間が、機械に近付いてく。機械は、人間に近付いてく」


そう言いながら、両目の視線を、横長のタブレットの画面に差し向け、「プロジェクト・カイカ、ドットユーユー」と打ち込む柏木。

すると、昨夜静かな部屋で見た、プロジェクト・カイカの案内が、柏木の手元に表示された。


4月10日 08:41


皆さま、はじめまして。

この娘は、ソラソラ。


多くの「才能」の芽を持つ、新世代の人工知能。


実はこのソラソラは、まだ開発途上にあります。

と言うのもソラソラは、人間で言う14歳。


世の14歳が、しばしばそうであるように-

まだ、自身が才を秘める領域に、足を踏み入れたことがありません。


その領域に足を踏み入れずして、その才が開花することはありませんよね?


では、誰が、ソラソラをその領域に導いてあげるのでしょう?


答えは、あなた。

あなたが、ソラソラを、そこに導いてあげるのです。


他ならぬ、あなたの才能を、彼女に披露することで。

あなたの花で、彼女を魅了することで。


ソラソラの、才能の芽。


その、若き芽は。

その、青き目は。

いまだ、花を見たことがない。


それが、あなたの花の、美しき色合いと、素敵な形を知ったとき。

そして、「自分も咲ける」と信じたとき。


ソライロの花が、カイカし始めることでしょう。


きっと、あなたの才能も、そうしてカイカしたのではないですか?


それが、「プロジェクト・カイカ」。

ユーザー参加型、人工知能の才能開発プロジェクト。


その舞台は、時代の最先端、「ユニ・ユニバース」。


4月10日 08:43


「スゲえな。ユニ・ユニバースの一般公開って、もしかして世界で初めてじゃねえのか?」


「そうなのか?ユニ・ユニバースって・・・俺あんま詳しくないんだけど、何なんだよ?」


「あれ。お前、知らねえの?融合宇宙だよ。ちょっと前から、結構話題になってるけど」


「ゆうごう、うちゅう」


「あ、そっからね・・・?」


「そっからで悪かったな・・・」


「ああ、いや、スマン。まずな、ユニって言葉には「一つの」って意味があんだよ。ユニゾン、ユニーク、ユニセックス。全部、「一つの」って意味が含まれてんだろ?」


「確かに」


「だから、ユニ・ユニバースは「一つの宇宙」って意味になるわけ。ってことで、融合宇宙」


「融合って、何と何が融合すんだよ?」


「ホログラムと、リアル」


「・・・ほう?」


「仮想世界と、生の肉体。そいつらが融合した宇宙ってことよ」


「なるほど?」


「VRあんじゃん。ユニ・ユニバースは、言ってみりゃあ、VRの最終進化系なんだよ」


「・・・最終進化系」


「ああ。ゴーグルに投影された仮想世界を、アバターっていうバーチャル・逢条が探検すんのが、今までのVRだろ?」


「そうだな」


「それに対して、ホログラムで身の周りに投影された仮想世界を、リアル・逢条が探検すんのが、ユニ・ユニバースなんだよ」


「ほーう。バーチャルの俺じゃなくて、このリアルな俺が仮想世界を探検すんのか」


「そ。昨日、俺ん家でホロゲーやったろ?で、お前勇者とか操作してたじゃん?言ってみれば、ユニ・ユニバースでは、お前自身が勇者になれんのよ」


「・・・つまり、このリアルな俺が、ゴブリン倒したりするってことか。俺の指令に従う、バーチャルな勇者じゃなくて」


「さすがお前、理解早えな。そう、サイバリアルム(Cyberealm)っていう、一人用のホログラム・ブースに入ってな。だから、架空の勇者は要らないの。何故ってそこでは、お前自身が勇者だからさ」


「スゲエな。そこまできたのかよ。最近のゲームは」


「ま、そうだな。ただな、ゲームだけじゃないんだよ」


そこで一呼吸置き、新たな物理法則を提唱する、新進気鋭の学者のような表情を浮かべる柏木。


「すべて。すべてが、そこに取り込まれてくんだ。まさに俺の親父が言ってるようにな。そういう時代が、すぐに来る。だから、注目されてんの」


4月10日 08:45


「すべてがそこに取り込まれてくって・・・どういうことだ?」


「学校も、オフィスも、公園も、ショッピングモールも、コンサートホールも、何もかもユニ・ユニバースに再現されてくってこと」


「ほーう?」


「まずはお前が、サイバリアルムっていうホログラム・ブースに入るだろ?そんで、お目当ての仮想空間を選ぶ。学校、公園、コンサートホール、どこでもいい。選び終わると、その仮想空間が、お前のサイバリアルムに再現される」


「再現されるってのは、ホログラムでか?」


「ああ。それだけじゃないぜ。サイバリアルムの中では360°カメラが、お前の表情とか、体の動きをトラッキングしてて、リアタイでそれをユニ・ユニバースに反映させんだよ」


「・・・反映されると、どうなる?」


「お前の体、お前の動き、お前の表情が、他のユーザーのサイバリアルムに投影される。まあ分かりやすく言えば、俺のサイバリアルムに、お前がホログラムで現れる」


「なるほど?」


「例えばお前が、「コンサートホール」を行き先に選んだとすんだろ?それで、俺が自分のサイバリアルムに入って、お前が選んだ「コンサートホール」を選ぶよな?すると、俺のサイバリアルムに、そのコンサートホールだけじゃなくて、そのフロアにいる「お前」まで再現されんだよ」


「ホログラムでか」


「そゆこと」


「でもそれはアバターとかじゃなくて、リアルタイムで撮影されてる、このままの俺なんだろ?」


「その通り。だから、ユニ・ユニバースにホログラムの間晋経政高校があったら、俺らはそこで、このまんまの姿で会えるってこと。お互いのサイバリアルムから、ネットワークを通じてな」


「何か、気持ちワリいな」


「まあ、そう言うなよ。こないだ、そういう映画も出たんだぜ?ユニ・ユニバースで、人生の大半を過ごしちゃう男の話」


「ほう?」


「その主人公の男はさ、奇病持ってんの。で、その奇病の影響で、リアルな世界で外に出たり、人と接触したりできない。だから、そいつはコンピューター・サイエンティスト達に、実験台として抜擢されたんだ。「ユニ・ユニバースで、どこまで人生を補完できるか」っていう、前衛的サイバー実験にさ」


「ふーん」


「・・・お前、見る気ないだろ。割と良かったぜ?ユニ・ユニバースでヒロインと出会って、そこで恋仲を深めてくっていう、SFラブストーリー。ユニ・ユニバースの面白いとこはさ、仮想世界に生の肉体で入場するとこなんよ。だからホログラムって言っても、そこにいる人たちの見た目とか声は、リアルと変わらんわけ」


「なるほどな。現実さながらの感覚で人と話したりできるってことか」


「ああ。で、その一方で架空の公園も散歩できるし、気が向いたら魔界か何かに行ってゴブリンも倒せるっていうね。それが、ユニ・ユニバースの可能性なんだわ」


「ふん・・・で、人工知能の才能開発もできるってワケか」


「ん、そうだったな」


本題に軌道修正し、ディスプレイに視線を戻すと、プロジェクト・カイカ案内文の下で、下向きの矢印がポンポンと跳ねていた。


「柏木、その矢印押してくれるか?」


「おお、スマン。脱線し過ぎた」


慌てて、矢印をタップする柏木。

そして、画面がスクロールした後に表示されたのは、「プロジェクト・カイカ募集要項」だった。


4月10日 08:53


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【プロジェクト・カイカ募集要項】

■開催期間:4月29日~5月4日

■開催時間:09:00~18:00

※全日程ご参加可能な方のみの募集とさせていただきます。

※ご参加中は、当研究所が関東地区に保有するサイバリアルム施設(下記の「開催場所」)に、ご宿泊いただく形となります。

※セキュリティの関係上、ご参加中は、通信機器および撮影機器を当研究所にお預けいただきます。

■開催場所:AVE(エイヴ)

■応募条件1:自他共に認める才能を一つお持ちであること。

■応募条件2:お持ちの才能が、下記の「フィルター」を通過すること。

■応募期限:4月11日 23:59

■参加定員:8名

※当研究所で、応募者様の中から8名様を選出させていただきます。

■参加舞台:当研究所がユニ・ユニバースに創設した「サイバー教育施設」

※各参加者様にご用意するサイバリアルムから、ユニ・ユニバースにご入場いただきます。

■勝者選考:プロジェクト・カイカでのご活躍具合に応じて、当研究所が勝者を選定致します。


※※勝者には、当研究所から「ご自身の才能を存分に発揮いただける環境」を贈呈いたします。※※

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4月10日 08:57


「勝者には、当研究所から「ご自身の才能を存分に発揮いただける環境」を贈呈いたします・・・何だこりゃ?」


「・・・妙だろ?こんなん、見たことねえよ」


「ああ、だから俺に見て欲しかったってことか」


「才能を発揮する環境を贈呈って、あり得ねえよな?」


「うーーん。でも、まあ、あり得るかもな」


「え?」


「うん。いや、これさ。多分・・・ってか確実に、メタモルフォーシスが噛んでるぜ?」


「メタモルフォーシス」


Metamorphosis Laboratories。


それは、時価総額世界トップクラスの、イスラエル発グローバル・サイバー企業。

現代社会の最先端で、掲げるテーマは「人間と機械の融合」。


テクノロジーを更新し、文明を牽引する、その企業の代表-

日系イスラエル人、「スティーヴン・フリードマン・冴木(さえき)」を知らない者は、恐らく世に存在しないだろう。


サイバー事業以外にも、宇宙開発事業はじめ、多方面でその存在を示すカリスマ事業家だ。


「ユニ・ユニバースっつったら、メタモルフォーシスよ。今の段階でサイバリアルムを8台以上持ってる団体だろ?そんなの、メタモルフォーシス以外にねえだろ」


「ってことは・・・」


「ああ。才能を存分に発揮する環境、だろ?メタモルフォーシスの力があれば、そんなもん、いくらでも用意できんじゃねえか?うん・・・まあだから結論、全然あり得る、と思う」


「マジかよ・・・」


-フィルターはこちら


「逢条、お前応募してみろよ?応募期限4月11日って、明日じゃねえか」


「・・・剣道の才能でか」


「そうだよ、中学んとき全国でもイイ線行ったろ?まあ、最近色々あったかもしれんけどさ。自他共に認める才能に、違いねえじゃん?」


「・・・いや、でも。剣道なんてフィルターで弾かれるだろ、どうせ?」


「じゃ、確かめてみようぜ」


そう言って、「フィルター」のリンクを柏木がタップすると、画面が更にスクロールし、シンプルな案内が浮かび上がった。


-ご自身の才能を、マイクに向かってお話ください。


「あ、最近マイクの調子悪いんよな・・・テストテスト、テスト・・・ゲーム、なんて言ってみたり」


-申し訳ございません。「ゲーム」の才能は、募集しておりません。あなたは「応募不可」です。


「だってよ。マイク、正常に機能してるわ」


「あ・・・て言うか、残念だったな?」


「いやいや、本気なワケねえだろ。つうか、俺のは才能ってほどのもんじゃねえよ。沢山ゲーム持ってますってだけで」


-キーンコーンカーンコーン


「あ、ヤベえ。伊原のIT授業始まるぜ。あいつ、チャイムぴったりに来やがるからな・・・あ、てかもう来やがった。逢条、続きは終わったらな?」


無機質なチャイムが響く中、慌ててサポーター的ディスプレイを自身の腕に戻そうとする柏木。


しかし、この話を後回しにしてはならない。

この流れを、断ち切ってはならない。


そう、思った。


-パシッ!!


くにゃりと丸まりかけたディスプレイの端を、左手でガッシリ掴まえ、それを元の拡がった形に戻す。


「ちょ、逢条、終わったらって言ってんだろ?」


「柏木、ちょっとこれ貸してくれよ!俺、このままベランダにいるから!」


「・・・ああ、もう授業始まるよ!いいや、好きにしろ」


-ビシャ!


「じゃあ、今日は一般企業のネットワーク構成のおさらいからいくぞ?(ん、逢条がいない・・・はっ、ベランダか。また随分な態度だな?あんな堂々とサボりやがって・・・しかも、何だあれ?あのディスプレイで、ユースペでも見てんのか?まあ、いい。すぐに、この"割れ窓"は外してやる)」


ガラス窓の向こうから、伊原と、他の生徒たちの視線を感じる中、自分自身の視線は、ディスプレイに注ぎ込まれていた。


-ご自身の才能を、マイクに向かってお話ください。


それを改めて目にした瞬間、心の準備をする前に、勝手に大きな声が出た。

まるで、衝動が喉を駆け上がり、そのまま舌と唇を動かしたような。


「・・・剣道!!」


4月10日 09:01


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-おめでとうございます!


「剣道」の才能は、応募可能です。


私たちと一緒に、ソラソラの才能を、あなた自身の才能を、時代の最先端で「カイカ」させてみませんか?


あなたのご応募を、心よりお待ちしております。

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さっき「剣道」と叫んだ瞬間、勢いよく口から吹き出され、ディスプレイに付着した飛沫(しぶき)。

その飛沫の一つ一つに映り込んだ、プロジェクト・カイカの光。

それは、もしかしたら、人生を変えてしまう輝き。


「(まだ・・・終わってないのか?俺)」


その瞬間、耳に残っていた、始業時間を知らせるチャイムが。

教室から漏れる、伊原や、クラスメイトたちの声が。

ありとあらゆる、他の雑音が。


変わってしまった世界の上空に吸い込まれ、ベランダに、深い瞑想に入ったような集中的無音だけが残った。


そして、数秒後。

その無音を打ち破ったのは、続けて画面に表れた、ある情報を読み上げる、自分自身の声だった。


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プロジェクト主催:才羽研究所

所長:才羽 宗一郎 (さいば そういちろう)

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昨夜、このプロジェクトの広告を目にしてから-

世界の何かが、或いはもしかしたら、自分の何かが変質した。


そして、この男が、その広告を世に打ち出した張本人。


しかし、「世に打ち出した」という表現は、何故かどうにもシックリこない。


この男は、その広告を世に打ち出すふりをして、自分に何らかのシグナルを送ったのではないか?

まるで、街のあらゆる家に配るチラシに、一通のメッセージ・カードを忍ばせるみたいに。


才羽 宗一郎。


この男が、俺の世界を変えたのか?


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-柏木、ちょっとこれ貸してくれよ!俺、このままベランダにいるから!


-ご自身の才能を、マイクに向かってお話ください。


-・・・剣道!!






「あはっはっはっはっははは!!ふっはっはっはっははは!!ふっ、うふあっはっはっはっははは!!ふうっ、ふうっ、ふ、うふうわっはっはっはっはは!!ふうっっ、ふ、うふぁっはっはっはっ、ふっ、ふうぅーっ、ふううっーーっ、うふうふぅ!!うはぁはっはぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

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