完璧超人シンデレラ

榛名丼

完璧超人シンデレラ

 


 昔々のお話です。

 あるところに、小さなお家がありました。

 遠くには立派な王城の屋根が見えますが、お城とは比べるべくもなくみすぼらしいボロ小屋です。


 その家では母親と、その娘が二人。

 それに――シンデレラ、と呼ばれる娘が暮らしておりました。


 今日も母親は両手を叩いて、召使い同然の扱いをしている義理の娘を呼びつけます。


「シンデレラ、シン」

「はい、お義母様」


 ――早い、と母親は目をむきます。

 床を滑るように素早く目の前に現れたシンデレラはといえば、それはそれは美しい少女でした。

 長い金色の髪に、晴れた空のように青い瞳。睫毛は長く、鼻は高く、唇は小さく。理想とされるすべてを集めて作られた人形のような美貌の持ち主です。


 しかし年頃の少女らしくなく表情が乏しいシンデレラは、優雅にお辞儀をしてみせます。


「終わりました、お義母様」

「あの、まだ何も言ってないのだけど……」

「不肖シンデレラ、今までの傾向から今朝のご要望は察しておりました。掃除洗濯炊事、すべて完了しております。ご確認いただけますか」


 ふんっ、と母親は鼻を鳴らします。


「そんなことを言って、どうせ適当に掃除をしただけだろう? アタシにはお見通しさ!」


 母親は足を踏みならして窓辺に向かいます。

 そして指を伸ばすと、そこに溜まっているだろう汚れを絡め取ってシンデレラを振り返ります。


「ほうら! こんなに埃が――埃がない」

「恐れ入ります」


 母親は唇をわななかせます。埃、ありませんでした。

 必死にあちこちを探してみますが、汚れやすい窓枠やカーテン、床や本棚、どこに触れたところで汚れが見つかりません。

 そもそも、登場時にも床を滑るように移動していたシンデレラです。その時点で、床から磨き抜かれているのは明らかなのでした。


 どうしたものかと母親は困りましたが、ここで黙っては継母の名が廃るというものです。がんばって知恵を絞りだすことにしました。


「でもさっき、あんたはシンデレラと呼ぶアタシの声を遮っただろう。目上の人間に対して、それは失礼なんじゃないかい?」


 もはやこじつけレベルの文句をつける母親ですが、シンデレラは動じません。


「ですがお義母様は昨夜から喉を痛めてらっしゃいます。何度も私を呼んだりすれば、ますます症状が悪化してしまうと考えました」


 母親は喉を押さえて愕然とします。

 うまく隠しているつもりだったのに、シンデレラにはお見通しだったのです。


「はちみつを入れた白湯を用意してありますので、お食事のあとにでもお試しください」


 敗北、という二文字が母親の頭の中に浮かびます。


「「シンデレラ、シンデレラ!」」


 そこに、頼もしい助っ人が現れます。

 言うまでもありません、可愛い我が子たちです。

 美しい容姿を持つ二人ですが、光を放つようなシンデレラと比べてしまうとやや見劣りしています。


 自分は今日も敗北しましたが、娘たちが勝ち星を上げてくれる。期待感と共に、母親は一歩下がって三人のやり取りを見守ることにします。


 しかし、シンデレラは一歩どころか百歩先を行っています。


「お義姉様方の部屋についても、ご朝食の間に掃除が完了しております。昨日、上のお義姉様は寝落ちされた関係でシーツにお茶をこぼしてしまっていたので、洗って庭に干しています。下のお義姉様のお洋服はほつれがありましたので、縫って直しておきました」


「シンデレラ」以外の何かを言う前に、娘二人もノックアウトです。


「そ、そう……ありがとう」

「恐れ入ります」


 むしろお礼を言っている始末です。

 娘たちは母親を振り返ると、ぼそぼそと言います。


「ねえ、お母様。シンデレラをいびるの、もうやめない?」

「ええ、そうよね。あんな完璧超人をいじめるなんて、無理な芸当だもの」

「ど、どうしたのあなたたち……」


 いつの間にか娘たちが諦めかけているので、母親は大いに焦りました。

 そこで思いついたのが、週末のことです。この話題ならば、きっとシンデレラを圧倒できるはず。その涼しい顔を歪めることができるはずです。


「そうだわ、シンデレラ! お前には言っていなかったけど、週末に王城で舞踏会が開かれるの」

「はい。王子様の結婚相手を見つけるための舞踏会だと聞き及んでおります。そこで四人分のドレスを作っておきました」


 だから早いのよ、と母親は頭を抱えます。

 シンデレラによる、こちらの要求を先に叶えておくスタイル、ありがたいのですがもはや恐怖の領域です。


「……って、四人分? 三人分じゃなくて?」

「ええ。不肖シンデレラ、舞踏会に参加させていただきたく存じます」


 母親も娘二人も、揃って息を呑みます。

 何事も完璧以上にこなしてしまう超人シンデレラ。彼女がこんなふうに自分の欲求を露わにするのは、初めてのことだったのです。


「あ、あらぁ。結婚になんて興味がないものだとばかり思っていたけど、意外だわ。いくらあなたでも、王子様と聞けば夢見てしまうものなのかしら?」


 肩を竦めてみせる母親に、シンデレラは無表情のままこくりと頷きます。


「はい。効率を重視したいと考えました」

「……えっ?」

「舞踏会には千人以上の若い娘たちが参加するそうです。お義姉様たちは見目麗しく、心優しい方々ですから、王子様に見初められる可能性は高いですが……やはり人数は厚い壁といえます。ひとりより二人、二人より三人。そのように愚考いたしました」


 斜め上の回答が返ってきましたが、まぁいいか、と母親は考えるのをやめました。

 なんにせよ、舞踏会が待ち遠しくて仕方なかったのです。




 そしてとうとうやって来た、舞踏会当日。


 その日ばかりは、朝から家の中は火をつけたように騒がしくなりました。

 ドレスを着て、ビーズをつけた靴を履いて。髪を結ったり、編んだり、化粧をして。

 ドレッサーの前に座る娘たちは、笑顔の花を咲かせて楽しそうにしています。

 彼女たちの晴れ姿に感動して、母親も思わず目を潤ませました。


 裁縫技術も完璧なシンデレラのこと。予想に違わず、ドレスの出来はすばらしいものです。

 でも、限られた素材や材料でどうやってこんなに素敵なドレスを作ったのか。そんな疑問が顔に出ていたのか、シンデレラが説明します。


「布の継ぎ接ぎを誤魔化すため、植物の蔓や花を加工してドレスの飾りに使いました。使い古した服や鞄についていたリボンやボタンなども再利用しています」

「そうなのね……でも四着分を仕立てるなんて、大変だったでしょう」


 シンデレラが目を見開きます。


「いいえ。……お義母様やお義姉様たちの笑顔を見ることができたので、じゅうぶんです」


 殊勝な物言いに、母親はさらに労りの言葉をかけようとしたところでハッとします。

 完全に絆される流れに入っていましたが、首をぶんぶんと横に振って正気に戻ると、娘たちに呼びかけました。


「ほうら、はしゃいでないで。そろそろお城に行くわよ」

「「はぁーい、お母様」」


 そうして四人で外に出たのですが、そこで母親は固まります。

 家の前に、ローブを着た若い男が立っていたからです。


 母親は一歩前に出て、娘たちを庇うように両手を広げます。

 男はそんな母親から鬱陶しげに視線を逸らしますが、後ろに立つシンデレラを見るなり破顔しました。


「やぁ、シンデレラ。僕は魔法使い。がんばる君をずっと見ていたよ」

「どなたか存じ上げませんが、何か私に御用でしょうか?」


 知り合いなのかと思いきや、シンデレラの態度は冷えきったものです。

 男は困惑したように眉を寄せますが、咳払いして気を取り直したようでした。


「その、君に魔法の奇跡を届けに来たんだ」

「具体的には?」

「君は継母や継姉たちに虐げられても、めげずに努力し続けていた。そんな君に美しいドレス、硝子の靴、それにカボチャの馬車をプレゼ……」

「それは無料のサービスでしょうか?」


 男が固まります。それから乾いた笑いを浮かべました。


「う、うん、もちろん。お金は要求しないよ。当たり前じゃないか」

「怪しいですね」

「えっ」

「この国には、無料タダより高いものはない――ということわざがあります」


 そうだっけ、と母親は思いました。

 シンデレラは辛辣な口調で続けます。


「舞踏会当日は誰しも判断能力が鈍っているもの。そんなときにドレスや馬車を押し売り営業する自称魔法使いだなんて信用できません。というか信頼できる馬車屋に一台頼んであるので、馬車も必要ありません」


 ちょうどタイミング良く、シンデレラが頼んだ馬車が家の前にやって来ます。

 継母たちは戸惑いつつ、馬車に乗り込んでいきます。


「ちょ、ちょっと待って! シンデレラ! シンデレラー!」


 馬車が出立してからも男は何やら叫んでいましたが、やがてその声は聞こえなくなりました。




 こんな感じでアクシデントもありましたが、道中は平和そのもの。

 問題なく王城へと辿り着いた母親たちは、そのきらびやかさに圧倒されました。

 住む世界が違う、とはまさにこのことをいうのでしょう。緊張と興奮でどぎまぎしながら、長い階段を上って舞踏会の会場へと入ります。


「ほ、本当に人が多いのね。千人を超えているんじゃないかしら……」


 人の多さに母親は圧倒されました。

 今日はきっと、国中から若い娘が集められているのでしょう。

 その中にも、同じ村に住む見覚えのある顔がちらほらいますが、彼女たちはシンデレラを見るなりひそひそと囁き合いました。


「見て! テーブルに、あんなにたくさんのお料理が!」

「いいわね。お腹いっぱい食べてみたいわ!」


 びっくりするくらい大きな声で言いだすのは、娘二人です。

 娘たちの言う通り、たくさんのテーブルには見たこともないようなご馳走がたくさん用意されています。

 わらわらと人が集まっているので、これでは近づくのも難しいですが……そんな三人に声をかける者がひとり。


「お義母様、お義姉様方。とりあえずいくつか料理を取ってまいりました」


 命じられる前に動いている、通常運転のシンデレラです。


「ここからは体力勝負です。少しだけでもお腹に入れておいたほうが良いかと」


 そんないつも通りのシンデレラに、安心を覚えたのでしょうか。

 娘たちはお皿を受け取り、スプーンやフォークを手に舌鼓を打ちます。母親も、初めて食べる料理の数々を味わいます。


 そうして料理を堪能していたときです。

 家来によって、王子の登場が告げられます。華やかな会場の空気が一気に緊張を帯びました。


 会場に現れたのは、見目麗しい貴公子です。

 ほぅ、と誰もが息をつきます。若く精悍な王子に見惚れているのです。


 王子の目に止まるため、若い娘たちはみんな彼を食い入るように見つめたり、自慢の髪を撫でつけてみたり、咳払いをしてみたり。

 そんな中、会場中を見回した王子の視線が――ひとりの少女に注がれます。

 王子の登場なんて意に介さず、人の間を掻い潜って追加の料理を選んでいる彼女こそ、誰あろうシンデレラです。


 王子の白い頬に、ぽっと分かりやすく熱が灯ります。

 その情熱的な眼差しを見れば、誰もが残念そうに身を引きます。王子とシンデレラを隔てるものは、何もありません。


 王子は満を持して、シンデレラに呼びかけました。


「美しい人。僕と踊ってくれないだろうか」


 ――やっぱり、と母親は思いました。

 王子様は、今までたくさんの女性と出会ってきたのでしょう。その中でも、きっとシンデレラがいちばん美しいはずです。


 シンデレラは手元の皿をテーブルに置くと、小さく頷きます。


「はい、喜んで」


 シンデレラは表情こそ変えないものの、差しだされた手を取りました。

 音楽が奏でられ、二人が会場の中心に出ます。手を取り合って踊る二人の姿は、光を放つようでした。


 母親は、沈黙する娘二人の肩をそっと抱き寄せました。

 そうして、王子と見つめ合うシンデレラをじっと見守ります。


「これは運命だ。美しい人。どうか僕と結婚してくれないだろうか」


 ダンスが終わるなり、王子はそう言い放ちました。

 シンデレラの返事は聞かずとも明らかなので、家来たちが王子妃の誕生にそわそわしているのが分かります。

 しかし――。








「お断りします」









 シンデレラは、夢見るように頬を赤くしていた王子に素っ気なく答えました。


 広い会場中に沈黙が広がります。それは次第に、ざわめきへと変わっていきました。

 振られた直後の王子といえば、脳が理解を拒んだのでしょうか。首を傾げています。


「すまない、聞き取れなかったようだ。なんて?」

「ですからお断りします。そもそもさっき初めて会って、ちょっと一緒に踊っただけですし」


 舞踏会の趣旨ガン無視のシンデレラです。

 シンデレラは硬直する王子に、完璧なお辞儀をします。


「恐れながら申し上げます。王子様がご存じなのは、せいぜい私の顔、体形、声、ダンスの腕前くらいです。私の身分も名前も、性格も、趣味嗜好も、何も知らない」

「そ、そんなことはこれから知っていけば……」

「でしたら、そんな王子様にご説明いたします。私は不貞の子なのです」


 王子が惚けたように口を開けます。

 会場中に広がるざわめきに構わず、シンデレラはよく通る声で続けました。


「私の父親はとんでもないクズでした。妻と二人の娘がいながら、未亡人に手を出して孕ませた。それが妻にバレれば、財産を持ちだして女と二人でさっさと逃げだしました。まだ三歳の私を置き去りにして」

「…………」

「食べるものもなく飢えかけた私を見つけて引き取ってくださったのが、お義母様だったのですよ」


 打ち明けられた壮絶な過去。

 王子はしばし絶句していましたが、思いついたように指を立てます。


「分かったぞ。さっき、妻と二人の娘と言ったな? ……つまり継母と継姉たちに、君はいじめられているんじゃないか。だから僕からのプロポーズを断ったんだ! 嫉妬した三人に何をされるか分からないから!」

「違います」


 違うのか、と王子は膝を叩きます。


「お義母様とお義姉様が私に冷たくするのは、私を自分たちから遠ざけるためです。三人とも、私には幸せな結婚をしてほしいと願っているから。家から離れようとしない私に困り果てた末に、最近はわざと冷たく振る舞って……」


 ぎゅ、とシンデレラは唇を噛みます。

 その宝石のように輝く瞳には、透明な涙の粒が浮かんでいました。


「三人は朝から晩まで、ずっと働き通しです。料理屋で給仕をしたり、皿洗いをしたり、野菜を売ったり……。お義母様は体調を崩しがちで、先日は風邪を召されました。上のお義姉様は疲れて意識を失うように寝てしまいます。下のお義姉様の服はすぐに汚れて、ほつれてしまいます」


 気づかれていたのか、と母親と二人の娘は目を伏せました。

 どんなに隠し通そうとしても、シンデレラにはお見通しだったのです。


「私を外に働きに出せば少しは楽になるのに、そうしない。不貞の子である私が外に出れば、周りからどんな扱いを受けるか知っているからです」


 同じ村からやって来た人々が、気まずそうに目を逸らします。


「……お義母様もお義姉様たちも、早く私を捨てるべきだ、憎むべき不貞の子だと、いろんな人に言われてきたはずです。それなのに三人は私を家に置いて、家事を任せてくれました。それがどれほど嬉しかったか、あなたには分からないでしょうね」


 シンデレラは、王子が気圧されるほどまっすぐな目で彼を射貫くように見つめます。


「贅の限りを尽くした舞踏会。景気が良くて大変けっこうなことです。ですがあなたたちが贅沢な暮らしをしている裏で、国民は貧困に喘いでいます。誰もが群がるように料理を食べていたのを見たでしょう」


 王子は唇を噛み締めます。

 シンデレラの言葉が正しいと、彼は誰よりもよく知っていたのです。


「呑気に王子妃を選ぶ舞踏会なんか開くくらいなら、少しは王族の役目を果たしてはいかがですか」


 王子を含む誰もが、しばらく沈黙しました。

 ですが王子は、王族を侮辱するような発言をしたシンデレラを牢に入れろと言うことはありませんでした。

 彼はすぅっと大きく息を吸うと、会場中に響き渡るように宣言したのです。


「これにて、舞踏会は閉会とする!」


 それに困ったのはたくさんの家来たちです。

 慌てて王子に駆け寄りますが、彼は落ち着いた口調で言います。


「僕はようやく目が覚めた。未婚の男など一人前ではない、政治に関わる前に結婚しろと父上からは口うるさく言われていたが……最初にやるべきことを、はき違えていた。そんな自分が恥ずかしい」

「王子様、それでは……」

「今から父上のところに行く。この国を変えるんだ。結婚なんて、自分を誇れるようになってからだ!」

「は、はい!」


 凜々しくマントをなびかせて歩きだす王子。

 その背中を見送ったシンデレラは、何事もなかったように家族を振り返ります。


「閉会だそうですよ。帰りましょうか、お義母様、お義姉様」


 王子と結婚すればシンデレラは幸せになれる。そう思っていた母親でしたが、すっかり目論見は外れてしまいました。

 というか、賢いシンデレラのことです。舞踏会に参加した本当の目的は、王子の目に止まって一言でも文句を言う――否、発破をかけることにあったのかもしれません。


「料理は持ち帰って、みんなで食べましょう。数日分の食料にはなりますから」


 ですが、わずかに唇を綻ばせるシンデレラに、そんな指摘をするのは野暮というものでしょう。


「ええ、そうね」


 母親は眉尻を下げて、ゆっくりと頷きました。




 それからというものの、シンデレラたちの住む国は少しずつ変わっていきました。

 国の政策は変わり、税金が下げられ、労働者や貧困層への医療や配給の制度が整いました。

 村には子どもたちの明るい笑い声が響くようになりました。余裕のなかった人々は、少しずつ隣人を思いやる心を思いだしつつあります。


 シンデレラも、最近は外に出て働くようになりました。

 家族のために奮闘を尽くして完璧超人に成長したシンデレラが、十人分、二十人分の働きをするのもあり、一家の暮らしぶりは少しずつ豊かになっていきました。

 今にも壊れそうな家は建て替えて、新しい家具や衣服を買うことができました。その日の食事に困ることもありません。


 そうして、空が青く晴れ渡った日のこと。

 家の外から、ひひん、と馬のいななく声がします。

 お茶会の最中、ぴくりと眉を動かしたのはシンデレラです。


「また王子様でしょう。ここで油を売るくらいなら、真剣に花嫁を探せばいいものを」


 心底いやそうに顔を歪めるシンデレラ。

 シンデレラがそんな顔をするのは本当に新鮮なので、母親も姉二人も、あははと声を上げて笑ってしまいました。不思議そうにしていたシンデレラも、三人につられたようにくすくすと笑います。



 ――もちろん、言うまでもないことではありますが。

 それからも四人はそれぞれの道を歩きながら、幸せに暮らしましたとさ。


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