第2話 「回想はじまっちゃった!」

「もう次のターンで終わっちゃうよ〜!杜和とわ兄ぃの最下位確定〜!」


 煽り口調でそう言い放ちにやにやしてる夏輝なつき。僕は今、マ◯オパーティーを妹の友達の春樹はるき夏輝なつき愛秋あきの3人と一緒に遊んでいる。ちなみに妹は学校に筆箱を取りに学校に戻っている。ドンマイ!


「ふっ・・・甘いな。な僕が勝利条件であるスターを無視してここにきたのは何も諦めたわけじゃないだぜ?」


 僕が操作してるキャラの近くにあるマスには他のプレイヤーのスターと交換できる可能性があるマスがあるのだ!!


 そして僕はさいころを振り、その一発逆転のマスに止まることに成功した。子どもたちの声が鳴り響く。


「いーや、まだ誰と誰が交換するかわからない!一つでもルーレットを外せば、俺が杜和兄ぃからスターを奪われることはない!」


 夏輝の発言した内容の方が、僕が望む出来事より起こる可能性が高いのは明々白々だ。だけども僕は


「こいこいこいこい!!いっけぇーーー!!しゃーーーーーー!!」


 と、この場にいる誰よりも叫び、見事にチャンスをものにした。


「マジかよ!?一位だったのにーー!奪われたー!」


「杜和お兄ちゃんナイスゥー!じゃ俺が一位ってことで」


 夏輝がスターを奪われたことで1位に成り上がった春樹は勝ったつもりでいる・・・甘いZE☆


「勝ち誇るなよ春樹ぃ〜結果発表でスターもらえるチャンスがあることを忘れたのか〜?」


「まずーい!そういえばそんなもんあった〜!俺の計算が狂う!」


 データキャラみたいなことを言っている春樹。そして結果発表では1番アンラッキーマスを踏んだ僕がスターを獲得した。


「しゃー!逆転勝ちいただきましたーー!残念だったなガキども。」


「あんなにアンラッキーマス踏んで無一文だった兄ちゃんが・・・」


「ピンチはチャンス、不幸をモノにすれば幸運は降ってくるんだよ。」


 意気揚々と語っていた僕に、無口な愛秋が話しかけてきた。


「あの・・・雨降りそうなんですけど、冬姫ふゆきちゃんまだ学校から帰ってこないから心配です・・・」


「そうだね。なかなか来ないから向かいに行くとするか。みんな母さんがそろそろ帰ってくると思うからここで待っといて。」


 そう言って僕は外に出る。そういえば母さんに米を買っといてと頼まれてたことを思い出す。冬姫を迎えに行くついでに街に寄るか。


 この時そんな頼み事を忘れたままでいたら、僕は異なる運命を歩んでいただろう。まさかあんなことになるなんて思うわけがない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 僕、東風杜和ひがしかぜとわはどこにでもいる18歳の少年である。同年代の友達は指2本で数えられるほど友達がおり、近所付き合いも悪くない。

 家族は両親と妹の冬姫ふゆきがいる。今日に関しては両親どちらも仕事で留守にしており、冬姫は友達とマリオパーティをするために家に集まったが、肝心の冬姫はいないため代わりに僕が妹の遊んでいた。


「雨かなり降りそうだなぁ・・・少し走るか」


(私の風の力使う?)


 頭の中から声がする。


「あんまり距離ないし、眠くなるのも困るから大丈夫。」


 そう答えると、頭の中の声は消えた。そして僕は傘を持ち走り出した。


「あっあに。ちょうどいいところに。あの子、木の上からが降りられなくなっちゃったらしいから助けてあげて」


 走ってた途中近くの公園の木の上から僕の妹、冬姫の声がした。見た感じこの公園で1番高い木に登って降りれなくなってしまった子どもを助けようと、冬姫も登って行ったという状況だろう。


高いよ怖いよー!と叫ぶ子ども。確かにあの高さから見る大地は怖いだろう。


「オッケー任せてくれ。冬姫は先に降りてていいぞ。」


 (私の風の力使う?)


  再度頭の中に声が響き渡る。僕は答える。


「頼んだよ。僕が頼れるのは君だけだからね。」


 右足を後ろに力を入れる。すると辺り一面が静まりそして足元に風が僕を押し出すように集まる。


「3・・・2・・・1!!」


 そして僕は跳んだ。泣いてる子どもがいる枝に乗り、子どもを抱えてそのまま飛び降りた。地面に着地する前に風の力を使い、ふわりと優しく着地する。子どもの表情不安から安堵に変わり、羨望の眼差しを向ける。


「すごいすごい。何それ!?」


「これはね・・・魔法だよ」


口を緩め僕はそう言った。その後、実は木から降りれなくなっていた冬姫も下ろした。

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