第4話 先生と島流しクラスの劣等生徒
「と言う訳で、うわさに聞いていたxクラスですが……もっと荒れているかと思いました」
「いや、島流しクラスが荒れているなんて創作の世界だから。ウチは普通の学校だからそんなひどい有様ではないでしょう」
校舎から少し離れた教室。xクラスと書かれたクラスの前に立つ光珠と正輝は、お互いの考えを話すが、光珠の言うようあまり他の教室と変わらない教室。
ただ、教室のある校舎が少しだけ遠い場所にあるだけで特に通常のクラスと変わりはなかった。
「で、ですが落ちこぼれクラスと言われるのです。きっと生徒は、ヤンキーが多いはず」
「だからそんなことはないって……きゃあ!」
まだ悪いイメージの払しょくできていない光珠は、ドキドキして教室の扉に手をかけて扉を開けた瞬間、パンと言う破裂音がなり光珠はびっくりするがそこにはクラッカーを持った小さな背に赤いツインテールを流す牛の角の生えた赤い目の少女と身長が高くグラビアモデルを思わせるスタイルに白い翼が頭から一枚帽子の様に巻かれた長い銀髪を靡かせる天使がいた。後ろでスマホをいじっているどの暑い眼鏡をかけた短い金髪ポニーテールエルフも不意にこっちに顔を向けた。
「ようこそ~! xクラスへ! 歓迎しちゃうよ!」
「よく来たわね……残念だと思うけど……まあ、頑張りなさい」
「…………」
どうにも光珠の想像したクラスとは違うらしく茫然とした光珠は、扉を反射的に締めてしまっていた。
「せ、先生! クラスを間違えました! こういう時は新人いびりか総無視が当たらい前なはずです! こんな和気あいあいとしたクラス! 多分間違えています!」
「間違えじゃない。見ていれば分かる……」
事前に生徒の情報を聞いていたのでため息をついた。
瞬間、壁から爆発音のような音が鳴った瞬間、教室の壁が木っ端みじんになり、粉塵の中から天使族の少女が満面の笑みで現れた。
「歓迎……しちゃうよ」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
しかしその笑顔はどこか怖い圧の様なものがあり光珠は絶叫してしまう。
「彼女は天和香彦芽(あまわかひこめ)三年の天使族で後衛ヒーラー過程でありながら、自分以外への回復魔法が使えない。だから、純粋な力では、アトランティス一であり、戦士職を進められたのだが拒否し、謎の前衛ヒーラーとしてxクラスへ編入」
「……て、天使族ってもっとこう……思慮深いというか心が広く落ち着いた種族特性が」
「メンタルが弱く、頭もあまり良くないからか……すぐに喧嘩もするからな。魔族よりもたちが悪いのは僕が認めるが……頭なでたい」
「この期に及んで変態発言はしないでください! って、先生!」
正輝は、彦芽の頭に生える羽を見て少しよだれを垂らし近づく。
「歓迎……あ、貴方が先生? 初めまして天和香彦芽です! どうぞよろ……きゃうん!」
「よ、よろしくね……彦芽。僕は、初瀬正輝。人間族の先生だ」
正輝は、我慢しきれなかったのか自己紹介と同時に彦芽の頭をなでる。
「せ、先生初対面で……」
「ふ、ふへへへ。せ、先生に優しくされたのは、彦芽、初めて」
光珠は、正輝のセクハラを注意しようとするが、彦芽は満更でもなさそうにハイライトの消えた瞳に満面の笑顔で正輝に撫でられていたのを見て死んだ顔になる。
「ああ、そうですか。うん、私には分からない世界」
茫然としていると奇跡的に残った扉から出てくるツインテールの小さな子が、光珠に近づき手を差し出す。
「あ、アンタが新しいクラスメイト! 歓迎なんてしてないし! ようこそ歓迎するわ!」
「せ、先生! 私はこの子が言っていることと行動が全く理解できません」
歓迎しないと言いながら手を差し出し、最後には歓迎をすると言っている意味の分からない言動に困惑する光珠は、正輝に助けを求めると、正輝は、彦芽の頭をなでながらツインテールの少女を紹介する。
「その子は、一年のグリム・召須垣(めすがき)。ドワーフ族でツンデレに憧れる前衛担当。主に盾で生徒を守るタンク職だな。ただ、ツンデレに憧れているのか、ダンジョンに出たモンスターを倒せないし、言動もちぐはぐでxクラスに来た子だ。真面目な子で正直、あの角もめでたい」
「先生だぁ~め。彦芽を今は見て」
彦芽の頭をなでながら先生は、グリムの設営をするとグリムが不服そうに反論する。
「別に倒せない訳じゃないわ! 倒したことが無いだけなんだから! 勘違いしないで! あと、転入生! 握手しないで!」
「あ、すみません」
差し出された手を握ろうとした光珠であったがグリムは悲しそうな顔で光珠を見る。
「か、歓迎されていないのね……。勘違いしないで! 悲しくなんてないもん! ウエェェン」
「わ、分からない! グリムさんの感情が」
「ああ、多分握手してほしいんだよ」
「め、面倒くさい! と、とりあえずグリムさん、あ、握手」
「別に勘違いしないでよね! 嬉しくないし。え、えへへ」
言動と行動がちぐはぐなグリムに戸惑う光珠であったが、瞬間、光珠に先ほどまでスマホをいじっていたエルフが飛び出し泣いて抱き着いた。
「うわぁぁぁぁぁん! 光珠ちゃん、お金貸して! せ、千円でいいから」
「うわあ! い、いきなりなんですか! 別に千円なら……」
「光珠ちゃん。セラちゃんにお金貸したらダメだよ」
「え、なんですか? どうにも困っているようで……」
忠告する彦芽に光珠は少し戸惑うのだが、正輝は、彦芽をなでる手をやめずにそのまま、光珠に抱き着いたエルフのことについて話し出す。
「その子は、セラ・フィムミルトン、サポート職専攻の二年でエルフ族……学業成績は良いのだが、長年の引きこもり体質でサポートなど碌にできないうえ、重度のギャンブラーでな、多分今もネットカジノで負けたんだろう。万年金欠だ。お金をあげて耳かきをさせてもらいたい」
「そ、そんなことない! す、すぐに倍にするから! そしたら返せるから! 貸しておくれよ! 光珠ちゃん!」
「……」
急に冷めた目でセラを見る光珠は、取り出そうとしていた財布をしまう。
「な、なんで財布をしまうんだい! 光珠ちゃん! 千円なら貸して……」
「今月、いくらギャンブルに使いをしましたか。いくらお金を借りましたか?」
「こ……今月は……投資千k。借りたお金は……九百k。収支はマイナス千二十k……に、二十kは勝ったから調子がよくて! い、行けると思うんだ! 次は絶対!」
「先生。kっていくらです?」
聞き覚えのない単位に光珠は霊視に金額を聞き出した。
「1k千円……つまり百万円ギャンブルに使い百二万の負債がある。今月だけで」
「うあぁぁぁぁん! 先生のバカ! み、光珠ちゃんは今日が初対面だからまだお金を貸してくれると思たのに! な、なら先生がお金を貸してください! 十……いいえ、五万でいいので! あとちょっと! 後、ちょっとで当たるんです!」
「……最低です。行きましょう。グリムさん」
「うん! じゃなかった……いやだもん! えへへ」
軽蔑の目で見る光珠は、グリムの手を引き教室に入っていく、グリムもどこか嬉しそうについていくのを見て、正輝は、彦芽の頭をなでるのをやめる。
「せ、せんせ……」
彦芽は、どこか不安そうに正輝を見るが、正輝は、彦芽の手を握ると優しく耳元でささやく。
「お嬢様。時間はまだいつでもありますので、今は、手をつなぐので我慢してね」
「う、うん! 先生、大好き! 教室いこ!」
彦芽と正輝も一緒に教室に入っていき、セラは、一人廊下においてぼりになってしまった。
「ああ! みんな待って! いた!」
セラもみんなを追って教室に入ろうとするが、足元のがれきに足を躓かせて転んでしまう。
「……全く。ほらセラも行くよ」
「せ、先生」
セラに空いた手をしのべる正輝。彦芽は少し不満そうであったが不承ながらその行為を認めていた。セラは満面の笑みで正輝の手を取った。
「先生、ありがとう。一万でもいいよ」
「教室に戻らなければ、ギャンブルは禁止だぞ」
「す、すぐに戻ります!」
こうしてメンヘラ、自称ツンデレ、ギャンブル中毒の生徒の集まるxクラスに勇者を目指す中二病な高校二年生と、種族大好き変態教師がxクラスに集まるのであった。
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