第4話 村

「君、転生者?」

「…え?」

突然告げられた言葉に困惑し、目をぱちくりさせるエルドを他所に、ぐいっと顔を近づける。

「君、周りの人達とは違って結構派手だし。」

女性もエルドと同じことを思っていたのかそう言う。

確かに周りの人達よりは少しばかり派手だが…。

この世界を知らない今、何も言えることはなく、素直に「はい」と答えた。

そうすると、見る見る顔を明るくする彼女に、エルドは「忙しいやつ」と思う。

「私はスペス!さっきこの世界へ来たばっかりなんだ!」

と、握手を求める彼女に、

「俺はエルド…俺もさっき来たばかり。」

と、自分も自己紹介をし、スペスという女性の手を握り返す。

少し揺らし、お互いの手を離す。

困惑はしたが、仲間を手に入れたことには変わりない。寧ろ喜ばしいことだと自分に言い聞かせる。

「ねぇ、この後何をすればいいかわかってたりする?」

「んぇ?」

一人納得しているエルドに、そう聞くスペス。

そんなこと言われてもこちらも無計画でそこら辺をぶらぶらしていたわけだから、そう問われても何も答えられない。

「いや、めっちゃ無計画っす。」

「え?嘘。」

「ガチ。」

二人して目を瞬かせる。

おっと?これはほんとに困ったぞ?と思ったエルドは、取り敢えず辺りを見渡してみる。

この村は小さく、家々は古くてすぐに壊れてしまいそう。

もしや、ハズレを引いたな?

電車に引かれたかと思ったら神に会い、強制転生させられ、挙句の果てには貧困層とは…。

いや、今までゲームしかしてこなかったエルドが言えることでは無い。文句を言うな。

「あ、そういえばさ、お金っていくら貰ってる?」

「金?」

そう言いカバンから袋を取り出す。

まぁ、予想はついていたが、多分結構な額はある。働かず遊べるぐらい。

「そのお金で何か買えるものを買っておこっか!」

「買えるもの...食料と水とあと...。」

「お前さん達や。」

エルドが思考をめぐらせていると、突然老人に声をかけられた。

入国手続きでも必要だったのかと身構える二人だが、

「お前さんら、金はあるか?良ければうちの水を買って言っておくれ。」

と言い放つ老人。

あ、これ、金儲けだな?

そう直感したエルドはスペスの方を見る。

だが、スペスもエルドを見ている。

お互い目と目を合わせている状態で、これまたどうしようかと考える。

「あの、おいくらで?」

そうスペスが老人に問う。

「一本ゴールド1000枚なんだが...買ってくれるかのぅ...?」

「……」

老人の言葉に黙り込む二人。

買えない額ではないが、流石に高過ぎて固まる。

そんなに貧困だったとは...と、少し同情するエルド。

大地の神を助ければ、もしかしたらこの村の人たちも助かるかもしれない。

そう思い、これは第一歩だと自分に言い聞かせ、水を買おうとする。

「水一本お願いします。」

「ほ、ほんとか?」

「...ん?」

エルドの言葉に驚いた様子の老人に二人してまた目を見開く。

「実はのぉ、ここで水を買うやつらはいつも金を渡さなくてのぉ...。」

「クズすぎるだろ...。」

「だからのぉ、お主らがこんなにも心優しい方々だったとは...。ありがたやぁ、ありがたやぁ...。」

そういい手を合わせ礼を言う老人にいたたまれない気持ちになる。自分の住む世界がどれ程素晴らしいかを思い知らされる。

お金を払い、老人から水を受け取る。

ついでにスペスの分も買う。

「え?ありがとう!」

「いいえ。」

満更でもない顔を浮かべるエルドを他所に、「そういえば」と老人が話し出す。

「南の方へ向かうと大きな街があってのぉ、そこのディニテという武器商人の所へ行けば武器を作ってもらえるぞ。」

と、なんともありがたい情報をくれた老人に感謝を伝え、再び歩き出す。

南の街、ストレインジへ。

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