第3話 異変と異常


「……………んん?」


僕は、不思議な感覚に目を覚ました


外はまだ暗い、月も沈んでいないので朝ではないだろう。いつもだったらそのまま寝ているところだったが、今日はなんだか寝付けなかった。


「寝れなさそうだし、ちょっと特訓でもしようかな……」


僕は、毎日特訓をしている。自分を磨くために、いじめてくる奴らを追い返して、そしていつか、レイフィアにも勝って、助けられる立場になるために。


数年前から初めたこの特訓、しかし特訓量に見合った成果はついてこなかった。


「ハッ!ハッ!ハッ!………」


最初に素振りの特訓、この世界は魔法が強いとはいえ、剣一本だけでエギルド王国随一の強さを誇っている男もいる。僕は魔法が上手くはないので、剣も特訓しておかなければ騎士団にも魔術部隊にも入れない。


「ふぅ………っ、ハァッ!!」


素振りが1000回終われば、次は魔法の特訓

こちらも才能が無く、中位魔法も炎属性くらいしか撃つことができない。


「はぁ……はぁ……」


魔力が半分を切ったことを直感的に感じたら、次はスキルの特訓だ。これは本当はやりたくないし、やっても意味がないと思いつつも、もしかしたらと、砂粒よりも小さい希望を抱いて毎日続けている。


「ハァッ!………………………やっぱり、何も起こらないや……」


そして魔力が底を尽きれば、ヨロヨロと自室へと戻る、というのがいつものルーティンだった。

本来朝にやっていたこの特訓だが、夜中にやるのも意外といいかもしれない。朝早く起きなくていいし、魔法を撃っても木一本も折ることができない無様な姿を皆に晒さなくて済む。


だが今日は、夜中に起きたことの他にイレギュラーがもう一つ起こった



「っ……、頭痛い……特訓で疲れたのかな」


僕は頭を抱えて自室に戻ろうとするが、痛みは秒を重ねるごとに増していく。


ズキン、ズキン、ズキン


何かがおかしい


まるで、


「ハァッ……ハァッ……っ!」


そう言っても、どういう感覚か分からないだろうけど。言葉で表すのなら、一番近い表現がそれだった。痛みは上限無く増していき、眉をしかめさせた。


だが、それでも治らない頭の痛み


「うあああああああああああああああああああああああっ!!!!」


我ながら恥ずかしいことだが、僕は頭の痛みと、よくわからないの感覚への恐怖でついに立っていることさえできなくなり、叫びながら頭を抱えて膝から崩れ落ちてしまったんだ。






――――(レイフィア視点)




「―――――――――――――――あああああああああっ!!!!」


私が寝ていると、誰かの叫び声で目が覚めた


それが私の幼馴染、そして最愛の人の声だと気づくのに0.1秒もかからなかっただろう。


「ロスタっ!?」


声のした方を向くと、案の定ロスタの姿が見えた。

普段、身体がボロボロになるまでいじめられても悲鳴の一つもあげない彼が、庭にうずくまって歯を強くかみしめている。

私は眠気など吹っ飛んでしまい、靴を履くのも忘れて窓から飛び出した。





――――――――――――――


―――――――――――


―――――――


ちょこっと解説 (*´∀`*)



魔法の強さ(下へ行くほど強い)


最下位魔法

下位魔法

中位魔法

上位魔法

超上位魔法

神位級魔法




神位級魔法をこの世界で放つことができる人は片手で数えられるくらいしかいません

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