第二章・約束の裏側

放課後、茉莉と蓮、久瀬の三人は図書室の一角に集まった。

「久瀬君、どうして蓮君に関わろうとしてるの?」

茉莉が問いただすと、久瀬は静かに答えた。


「篠崎家と僕の家は、先代からの約束で婚約が決められていた。でも、僕は君と結婚するつもりはない。……篠崎さん、君もそう思っているだろう?」


茉莉は一瞬だけ目を見開いた後、小さく頷いた。


「そうよ。形式的なものだし、お互いの意志は関係ないの。でも、それでも……家族のために断りきれなかった」


その言葉に蓮は首を傾げた。

「じゃあ、なんで俺が関係あるんだ?」


久瀬はその質問に困ったような顔をしてから、ゆっくりと話し始めた。

「君の家と篠崎家には、もう一つの約束があったんだ。……それが、少し厄介でね」

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スピンオフ作品 「図書室の隣人、知らないふりで君を選ぶ」 ―許嫁の真実― 鏡浩一 @haoyitianshang014

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