第2話 狂った願い_?

「ふふっ!みーんな!死ね死ね死ね死ね!!!!!」

そう言って、私は道にいる人に切りかかる。

「きゃああああ!」

道にいる人が悲鳴を上げて、私の持っているナイフに刺される。

ぐちゃり、と血肉を裂く感触が気持ちいい。

「ふふっ。みーんな!みーんな!死んじゃえよ。」

そう言って、私はたくさんの人に切りかかり、そこを、警察に押さえつけられた。

自らの頭の肉が地面に押さえつけられる感覚も、痛みも、心地がいい。

私は顔を歪めて笑った。

警察が私を署まで連行していく。

そして今に至る、っと。

牢屋って退屈だな。

そういえば、道にいたあいつらを殺す前に見ていたサイトに、こんな言葉が乗っていた。たしか、

「おちるにおちない。

染まるに染まらない。

なにものにもなれない、何かになろうとあがいても。

あなたの願いは、消えること。

私があなたを消してあげる。

私があなたの願いをかなえてあげる。

闇狂屋が、あなたの願いをかなえてあげる。」

だっけ。

闇狂屋。。

「呼んだかい?」

目の前に不思議なパーカーを着た男とも女ともわからない中性的な見た目をした者が現れた。この牢屋の中に、どうやって一瞬で出てきたんだろうか。

「あんた、だれ?」

「私は闇狂屋の椿星ちほだ。で、闇狂屋を今、あんた呼んだだろう?」

「ああ、さっきの歌詞にそんな言葉も出ていたな。」

「で、あんたの闇側の願いはなんだい?」

「闇側の願い?なにそれかっこいい。あはっ。」

そう言ってわたしは、けたけたと、からからと笑った。

「はー、でも、願いかぁー、そうだねぇ、じゃあ、この世界の人たち、みーんな、殺して!」

「それはこの世のことわりに反するから無理だ。」

「えー?そんなぁ、じゃあ、私を苦しめて?」

「あいわかった。」

闇狂屋は、そう言って、わたしに仮面のようなものをかぶせた。

私の意識はそこで途絶えた。

―――――

私は、水の中にいた。

息ができなくて苦しい。

けど、その苦しさがうれしい。

水中にいる奇妙な形をした化け物のようなものが、私に向かって水中を歩いてくる。

そして、私のことを、ぐさり、ぐさり、と刃物で刺してくる。

不思議なことに痛みは感じるのに、その傷口は一瞬のうちに治り、また刺される。

「ふふっ、痛ぁい、でも、苦しい。でも、うれしいぃ。」

痛いのに、苦しいのに、うれしくて、楽しかった。

―――――

「この子、狂っちゃってた。」

人形がそう言った。

「そうだね。」

椿星はそう言った。

「こういう子、見ているだけで虫唾が走る。」

「それは君の前世と関係あるかもね?」

「知っているの?」

「ううん、知らないかもしれないし、知っているかもしれない。」

「どっち?」

「意味深そうなことを言ってみたかっただけ。」

「そうなんだ。」

人形をかかえて、椿星は、誰もいない暗い道を歩いて行った。

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闇狂屋 藍無 @270

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