第2話 みなさん、ご趣味はありますか?

 以前「趣味は何ですか?」と聞かれたことがる。 

 今から5年ほど前、コロナ禍の直前の話だ。


 友人から「おいしいピザの店を見つけたから付き合って」と誘われた。

 ピザに目がない私は、もちろん喜んで予定を入れた。


 お店についてみると、すでにテーブルには友人を含む3人の女性と他に4人の男性がいた。わたしを待っていてくれたんだろうなと思いながら席についた。

 彼らは、私「だけ」を待っていたのだ


 彼女たち3人はすでに既婚者であった。つまり3人の男性は、はじめから私だけを見ていたわけだ。私が30才になることを心配した友人たちが男性4人と女性4人(友人夫婦含む)との食事会を企画してくれていたのだ。いわゆる合コンともいえるし、ふりかえれば簡単なお見合いのようであったともいえる。わたしは最初そのことに全く気が付かなかった。


 それを気づかせてくれたのが「趣味は何ですか?」だ。

 わたしは正直に「落語」と答えた。

 

 わたしの恋は始まらずに終えた。


 


 

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