自殺志願島

@tsukinoglad

第1話 序章 胡乱な島

序章、胡乱(うろん)な島



「耐え忍ぶ生と自ら下す死、どちらを選ぶか決断せよ」


 抑揚のない声が響く。その言葉を無表情のまま聞く者、涙ながらに聞く者、光を失った虚(うつ)ろな眼でもはや声など届いていないような者。

 彼らはこれから始まる地獄を知っているのか否か、誘導されるがままにその島へとおろされた。

 歓迎するかのように上空ではアホウドリが鳴き、熱気を帯びた風が彼らの足元をかすめていく。


「期間は無制限だ」


 無制限ということは、つまり何らかの形で亡くなるまで、それは続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自殺志願島 @tsukinoglad

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画