第4話 東京
初めての調査は無事に終わった。
朝霞市役所には危険は存在せず、拠点として再利用が可能だと判断された。
今後、拠点として活用する為に整備する事とされる。
浄水場に関しては復旧に時間が掛かるが、安全な水を確保する観点から、早急に作業に入る事も決定される。
そして、確保されたゴブリン3体。
オモイカネは彼らをサンプルとして、生きたまま、生態観察をする事にした。
その為に用意されていた檻に彼らは放り込まれる。
知的レベルは猿並で、ただ、喚くだけで何を言っているか不明。
彼らは人間が変化した存在なのか。それとも繁殖後の個体なのか。
高い生殖機能にオモイカネは興味を示している様子だった。
そして、オモイカネはいよいよ本格的に調査に乗り出す事を決定した。
第一に計画の全容と失われた部分の補完の為に東京へと調査部隊を派遣する。
第二に大規模電力の復旧と燃料の生産施設の確保。
第三にさいたま市の全容調査と高知能生物の発見であった。
これらの作戦の為に今回の部隊分けがそのまま採用された。
1組は東京に向かい、調査。
2組は周辺の発電設備の調査。
3組は駐屯地周辺の生態調査。
1組は命令に従い、東京へと出発する準備をする。
朝霞から都内、特に霞が関周辺となると、車で1時間程度。
しかしながら、ドローンでの捜索範囲外となるため、一切の情報が無い。
本来、都内は人口密集地帯だった為、万が一にも感染者が多く存在する可能性もあった。だが、オモイカネは食料の自生が難しい都心では感染者は存在しないとも仮定している。どちらにしても調査するしかなかった。
その為、高い戦闘能力を有した1組が担当となる。
彼女達は多めに弾薬と食料、水を車両に搭載する。
移動に用いるのはEV化された96式装輪装甲車が4輌である。
車載する銃火器はM2重機関銃2丁とミニミ軽機関銃2丁である。
感染者は変化したとしても、野生動物程度の身体能力の為、熊程度の大型獣程度だと推定されている為、M2重機関銃の銃弾なら、大抵の獣の皮膚と筋肉は貫通が可能だと考えるからだ。
1組を率いる石嶺隊長は部下に指示を飛ばしていた。
桃花は倉庫と装甲車を行ったり来たりして、物を運んでいる。
「何でも桃花ばかり、働かせるにゃ」
彼女は弾薬箱を担ぎながら、石嶺隊長に叫ぶ。
「黙れ。お前は身体能力で選ばれたんだから、力仕事はお前の仕事だ」
石嶺隊長は笑いながらそう怒鳴る。
そうしている間にも準備は整った。
桃花達は石嶺の前に整列した。
全員が迷彩服姿で弾薬や食料を満載にした背嚢を背負っている。
ケプラー製ヘルメットの横には猫の顔を模した部隊章が貼られている。
「都心はドローンでの探索範囲外だ。未知の領域の為、これまでのようにはいかないと考えろ。良いな」
石嶺の言葉に全員が強く返事をする。
全員が車両へと乗り込む。
96式装輪装甲車の上面にはソーラーパネルが設置されている。これらは装甲車のバッテリーを充電する為である。それとは別に調査用のドローンも設置されている。現地での調査に用いる為だ。
ヒュイイイイとインバーターの独特な音を立てて、装甲車は走り出した。
東京へと向かう道は15年、無人であったにも関わらず、それほど、荒れた様子はなかった。感染者との遭遇は危惧されたが、野生動物に近い彼らは警戒心が強く、未知の物に対しては、安易に寄って来ないとも推測されていた。
そのせいか、道中で、感染者に遭遇する事は無かった。
調査と警戒の為、都心に入るのに3時間を要した。
無人化した都心は放置された車両や散乱したゴミ、散らばった白骨以外に無かった。それでも何一つ、壊れている様子はなく、ただ、無人の街であった。
石嶺は飛ばしたドローンの映像を眺めながら、確認をしていた。
「食料となる物が生育する環境が少ないからな。都心には感染者が残っている可能性は少ないと考えられる」
すでに霞が関まで入った彼女達は車両から降りて、周囲を確認した。
石嶺はこの一帯において、感染者が生活するには困難な場所だと確認する。
皇居など、一部においては自然が残された場所は存在するが、農耕をするわけでもない彼らを満たす程の食料は自生しないだろう。
彼女達の任務には丁度良かった。感染者が存在すれば、最悪は駆除する必要があるからだ。それでも潜んでいる可能性は捨てきれない為、全員が常に警戒をする必要はあった。
第一目標である総理官邸への調査が始まった。
失われた世界の再興 三八式物書機 @Mpochi
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