第二章:氷の王との邂逅



四季宮は、ルミナの想像をはるかに超える壮麗さだった。四つの塔がそれぞれ異なる季節の色彩を纏い、中央の大広間では四季の魔法が絶妙なバランスで融合していた。


老人...四季国の賢者ガイアスは、ルミナに四季国の歴史と現状を説明した。永い平和の後、突如として現れた闇の脅威。そして、その闇を打ち払うために必要な「春の花冠」の力。


「しかし、花冠の力を目覚めさせるには、四季すべての調和が必要です」ガイアスは言った。「特に、春と冬の力の融合が鍵となるでしょう」


その時、大広間の扉が大きく開かれた。


「春の担い手が来たというから、様子を見に来たのだが...」


低く響く声と共に、一人の男が姿を現した。長い銀髪、深い青の瞳、そして肩にかかった毛皮のマント。その存在感は、まるで冬そのものが人の形を取ったかのようだった。


「シリウス」ガイアスが言った。「こちらが新たに選ばれた春の乙女、ルミナだ」


シリウスはルミナを上から下まで冷ややかに見つめた。その視線に、ルミナは思わず身震いした。


「ふん、こんな子供に四季国の未来を託すというのか」


その言葉に、ルミナは思わず反論しようとした。しかし、シリウスの鋭い眼差しに言葉を飲み込んでしまう。


「シリウス」ガイアスが諭すように言った。「彼女には大きな可能性がある。君にも協力してもらいたい」


シリウスは一瞬、何かを言いかけたが、ため息をつくだけだった。


「分かった。だが、私の時間を無駄にするようなら容赦しないぞ」


そう言い残し、シリウスは颯爽と部屋を後にした。その背中を見送りながら、ルミナは複雑な思いに包まれた。


これが氷の王...私は本当に彼と力を合わせることができるのだろうか。


ルミナの冒険は、まだ始まったばかりだった。

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